標本を“つくる”

2026年5月22日

以前の水族園だよりで、「葛西臨海水族園の情報資料室で展示している標本は定期的に入れ替えている」と紹介しました。

じつは葛西臨海水族園の情報資料室にある標本の多くは、私たちスタッフの手作りです。この標本をどのように作っているのか、作り方やつくるときに気をつけていることについて、先日作製したオオホモラの脱皮殻乾燥標本を例に紹介します。

オオホモラは、「深海の生物4」水槽で展示中の、深海でくらすカニのなかまです。先日、飼育係から「バックヤードのオオホモラが脱皮をした」との連絡が来たので、甲羅の幅が4cmほどの殻をもらって標本を作製することにしました。

オオホモラ
オオホモラ
オオホモラの脱皮殻
オオホモラの脱皮殻

脱皮殻を標本にするとき、その多くは、乾燥させることで腐らず長期保管ができる「乾燥標本」にします。

乾燥標本を作製するとき、特に気をつけているのは、「生きものの姿勢」です。不自然な姿勢にならないように、水槽のオオホモラを観察し、足の向きなどの見当をつけます。特にオオホモラは一番後ろの脚(第4歩脚)が背中側に反り返り、その先が手かぎ状で、カイメンなどのほかの生きものを背負って身を守ると言われています。

標本でもこの向きを再現できるよう、しっかり観察しました。姿勢が決まれば、脱皮直後のとても柔らかい殻を「展足」(形を決めて乾かし固定させること)するために、発泡スチロールに竹串などを使って乾燥させます。数日後、ようすを見て竹串を外して完成です!

展足したオオホモラ
展足したオオホモラ

ふだんの飼育作業だけでなく、標本を作製するときにも、日ごろの水槽観察が役立ちます。

特に情報資料室にはたくさんの標本があり、なかにはスタッフが作製したものもあります。スタッフのこだわりが詰まった標本を、ぜひ情報資料室でご覧ください。標本を見てから水槽の生きものを見ると、またおもしろい発見があるはずです。

今回紹介したオオホモラの乾燥標本を展示している日もありますのでお楽しみに!

完成した脱皮殻乾燥標本
完成した脱皮殻乾燥標本

〔葛西臨海水族園教育普及係 津山透〕

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