サルシアクラゲの初展示と繁殖

2026年5月8日

体の中央にご注目!

2026年5月8日から葛西臨海水族園の「東京の海」エリア「浮遊生物」コーナーにて、サルシアクラゲの展示を開始しました。このサルシアクラゲは、じつは葛西臨海水族園では初めての展示となります。

サルシアクラゲ
サルシアクラゲ

サルシアクラゲは冬から春にかけて見ることができるクラゲです。生息地はおもに北海道から東北で、日本海側でよく見られます。傘の高さは10mmほどと、クラゲのなかまでは小さめです。

このクラゲの最大の特徴は、傘の中央から下に向かって伸びる、「口柄」(こうへい)という部分です。口柄とは突出しているクラゲの口のことです。伸縮自在で、ふだんから伸び縮みさせる姿を観察することができます。なんと、傘の高さの6倍の長さの口柄をもつ個体もいます。

そして、傘から伸びる4本の触手に、えさであるアルテミアという小さなプランクトンが付着すると、触手と口柄を互いに近づけ、口柄の先端から食べます。

サルシアクラゲが繁殖?!

サルシアクラゲは「ヒドロ虫綱」というグループに分類されます。このヒドロ虫綱のグループの生活史は、親が産んだ卵が受精し「プラヌラ」となり、岩などに付着すると「ポリプ」となることから始まります。

ポリプは植物のような形をしています。ポリプを拡大すると根や茎、花のようなものがあります。花のような部分は「ヒドロ花」と呼ばれます。そしてこのヒドロ花の根本から「クラゲ芽」と呼ばれる部分が形成されます。このクラゲ芽が遊離したものが「稚クラゲ」です。この稚クラゲが成長すると成体となります。

展示に向けて、事前にバックヤードの水槽でしばらく飼育していたところ、ポリプを発見しました!

壁についているサルシアクラゲのポリプ
壁についているサルシアクラゲのポリプ

本種の飼育経験がなく、適切な給餌量がわからなかったので、念のためと、えさを少し多めに与えていたのがよかったのかもしれません。

このポリプを拡大して見てみると……

ポリプ
ポリプ

ヒドロ花も確認することができました。そして、水槽をよく観察してみると稚クラゲが泳いでいました!

成体と稚クラゲの大きさの比較
成体と稚クラゲの大きさの比較

少しわかりづらいですが、丸で囲ったものが稚クラゲです。

稚クラゲの大きさはわずか1mmほどですが、アルテミアを食べて大きく成長しています。顕微鏡で見てみると、まだ成体のような長い口柄は確認できませんが、長い触手をもっていました。

今後は安定して通年展示ができるよう、えさや水流に気を配りながら飼育していきます。

※生きものの状態により、展示されていない場合があります。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山中春佳〕

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