くらし方は蟹それぞれ
投稿日:2026.03.29
更新日:2026.03.29
みなさんは「カニ」と言われてどんな姿を想像しますか? 食べておいしいタラバガニやズワイガニ、深海に生息する大きなタカアシガニ、はたまた水路や川沿いなど、身近なところで見かけるモクズガニやアカテガニなど、さまざまなカニが想像できると思います。
今回ご紹介するのは、似ているようで似ていない、葛西臨海水族園にいる2種のカニです。
「東京の海」エリア、「小笠原の海2」水槽では、ヤセタマカエルウオが岩の上を活発に跳ね回っています。そんな岩場の隙間に目を向けると、オレンジ色の殻に身を包んだカニがじっとしているのが見えるかもしれません。
これはイワガニ科に属する、オオイワガニです。陸上性のカニで、波が砕ける岩場に生息しています。ふだんはゆっくりと動いていますが、えさを獲るときなどには俊敏な鋭い動きも見せてくれます。
さて、今度は水中に目を向けると、ニセカエルウオやシマハギが泳いでいるなか、岩の表面を這っているカニが見えます。
トゲアシガニといい、こちらのカニもオオイワガニと同じくイワガニ科に属します。名前のとおり、脚に鋭いトゲが生えていることが特徴で、陸上でゆっくりと動くオオイワガニに対し、水中でせわしなく動いています。岩の表面を掃除しているかのようにハサミを絶え間なく動かし、藻類を口元に運んでいます。
魚たちが上を通ると、ときおり両方のハサミ脚を振り上げる、威嚇のような行動も観察できます。
水の中か外かの違いはありますが、岩場に生息している2種のカニ。オレンジがかった体色に、丸みを帯びた胴体など、共通点もありますが、よく比べてみると違いも見つかります。
岩の上、水の中、それぞれがくらす環境に適応している姿なのか、胴体、脚ともにがっしりとしているオオイワガニに対して、トゲアシガニは胴体が小さく、トゲのある脚はすらりと長いことがわかります。また、胴体の厚みも、オオイワガニは分厚く、トゲアシガニは平べったい姿をしています。
同じ科に属していながらも、水面を隔てるだけで、行動や姿に違いが見られる2種。みなさんもぜひ、カニたちの「違い」に注目しつつ、なぜ違うのかを考えながら観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 平井蒼大〕
(2026年03月29日)

