多摩動物公園で飼育しているムササビの「ハンゾウ」(オス)と「アズミ」(メス)の秋のようすについてお知らせします。
ムササビは木の芽、若葉、種子、樹皮、果実など季節によって食べるものが異なります。当園ではヒマワリの種、リンゴ、サツマイモ、クルミ、季節の果物、シラカシを毎日与え、その他にもドングリ、クリ、モミジ、コナラ、サクラなど季節ごとに園内で手に入る枝葉も与えています。

園内で採ってきたモミジ
葉っぱの食べ方は葉の種類によって異なり、真ん中だけ食べているものもあれば、葉脈しか残っていないものもあります。きれいに真ん中だけ空いたり残ったりするのは、ムササビが葉を食べるときに二つ折りに掴むため、食べ跡が左右対称になります。ほかにもムササビがかじった枝の切り口は斜めになるなど、食べ跡に特徴が見られます。

切り口が斜めの枝(赤丸部分)と真ん中だけ食べられた葉
モミジは葉ではなく種子を食べます。モミジの果実はプロペラのような形をしており、食べるのは根元にある種子だけなので、ほかの部分は残して落とします。種子の大きさは1.5cmほどの小ささのため、たくさん食べればその分殻の量も増えるので掃除が大変です。サイズの小さい種子をたくさん食べて本当にお腹いっぱいになっているのかな?と思うこともあります。

翌日下に落とされた殻
ムササビを見に来ても起きている姿を見たことがある方は少ないのではないでしょうか?
「見えない」「どこにいるのかわからない」といった来園者の方の声をよく聞きます。それもそのはず、ムササビは日没の約30分後から活動を開始する夜行性の動物です。昼間2頭は樹木の洞(うろ)と木箱の中で別々に寝ているため、飼育担当者でも動いている姿を見られることは滅多にありませんでした。
しかし9月末ごろから朝、動物舎の清掃に入るとハンゾウが巣箱の中で動くようになったため、えさ皿にヒマワリの種を入れると目の前で採食するようになりました。野生のムササビも冬眠はしませんが、冬になると栄養価の高い食べものをあまり食べられなくなってしまうので、秋にドングリやカキなどをたくさん食べて冬を迎える準備をします。
朝、クリを食べているハンゾウ
朝は9時半ごろから10時ごろ、夕方は16時半ごろからであれば採食しているムササビを見ることができるかもしれないので、ぜひムササビ舎にお越しください。
木箱の中にはムササビの姿が確認できるようカメラとモニターを設置してあり、画面の左上にいることが多いです。起きているときはその顔がアップでみられるかも??
〔多摩動物公園南園飼育展示2係 平〕
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