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子どものときだけフワフワライフ「コブセミエビ」──クラゲに乗ってクラゲを食べて
 └─ 2025/08/29
 葛西臨海水族園にある浮遊生物コーナーでは、さまざまな浮遊生物(プランクトン)を展示しています。浮遊生物とは、流れに逆らうほどの遊泳力をもたず、海の中を漂ってくらす生きものです。

 その代表的な種類として、一生のほとんどを漂ってくらすクラゲを思い浮かべる人が多いかもしれません。一方で、「一生のうち、子どものときだけ浮遊生活を送る生きもの」は意外にも多く、2025年7月に展示したコブセミエビもそのひとつです。

 展示したのは「小笠原の海3」水槽で産卵、孵化した幼生(子ども)です。


「小笠原の海3」水槽で抱卵中のコブセミエビ。丸で囲んでいる腹肢にオレンジ色の卵をくっつけている


孵化直後の「小笠原の海3」水槽。コブセミエビの子どもがたくさん漂っている

 コブセミエビは大きくなると体長30cmほどになるイセエビのなかまですが、子どものときはおとなと姿形が違います。この子どもは透明な葉っぱのような姿から、ギリシャ語由来の言葉で「フィロゾーマ」(フィロ=葉っぱ、ゾーマ=体)幼生と呼ばれています。


フィロゾーマ幼生

 フィロゾーマ幼生の育成は難しく、その生態もあまり解明されていません。セミエビ類のフィロゾーマ幼生は「ジェリーフィッシュライダー」とも呼ばれ、クラゲにつかまって乗り物として利用し、また食料として食べて成長します。試しにミズクラゲを与えてみると、1つのクラゲにたくさん群がり始めました。


 よく見ると消化管内に白いモヤが詰まっていて、写真の矢印のところから白い糞をしているようすが確認できました。糞の色は食べるえさによって変わり、白色の糞はクラゲを食べている証拠です。


体長2mmほどのフィロゾーマ幼生2個体がミズクラゲにつかまっている

 その後、何回か脱皮を経るごとに、体の大きさや目の形などに成長を感じられました。今回の飼育・展示は42日間で終了しましたが、コブセミエビの育成は水族館でも数少なく、貴重な記録となりました。


上が孵化直後、下が42日後の個体

 浮遊生物コーナーでは、そのときだけ見られる生きものが展示されることもあるので、ぜひチェックしてみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 坂本滉太郎〕

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