井の頭自然文化園は、2000年よりアムールヤマネコの飼育を始めました。繁殖にも取り組み、生まれた子どもたちは日本や韓国の動物園へも移動しています。
現在はこれまでの飼育技術を活かし
(公社)日本動物園水族館協会と環境省が協力して進める、
ツシマヤマネコの保護増殖事業に2006年から参画しています。「ヤマネコ飼育係の動物日誌」
[※]では彼らの行動などについてお話ししてきましたが、今回もチョッとしたヤマネコを観察するポイントをご紹介します。
まずは
2024年11月21日掲載のツシマヤマネコの「フユト」(オス)の写真をもう一度じっくりご覧ください。

非展示エリアにいたときの「フユト」
この写真を見て何か気づくことがありますか? わずかに見える地面は砂で、笹やぶの中にある切り株に登り、鋭い視線でこちらをじっと見ているヤマネコがいる……。もう少しじっくり見てみると、切り株に登り高い場所へ移動しているので、体調もよく元気そうです。さらに細かく、そして視点を広げていきます。すると「登っている切り株に白いスジ」が見えますが、これは何でしょうか?
これは彼らの「爪とぎの跡」です。爪とぎの場所はいくつかありますが、清掃中でもガリガリと音をたてて爪をとぐ行動を見ることもあります。また木などに新しい跡があれば爪とぎをしたことがすぐにわかり、周辺を探すと剥がれた爪が落ちていることがあります。
爪とぎは、古い爪の層をはがす行動です。ネコの爪はうすい爪の層がミルフィーユ状に重なりながら伸びてゆきます。先が丸くなったり欠けたりした古い爪がはがれると、鋭くとがった新しい爪が表に出てきます。ネコのなかまは爪とぎをして狩りに備えています。

はがれた爪
みなさんもアムールヤマネコ3兄弟の展示エリアで、実際に爪とぎ場所やその行動を観察することができます……この写真のように……
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爪とぎしている丸太 | 爪とぎしているようす |
さあ、みんなも観察をしてみよう!
〔井の頭自然文化園飼育展示係 唐沢〕
^ ◎動物日誌
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ツシマヤマネコ飼育係は「糞」が大切!!(2018年06月08日)
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(2025年05月18日)