井の頭自然文化園は、2000年よりアムールヤマネコの飼育を始めて自然繁殖や人工繁殖にも取り組み、それらの飼育技術を活かして
(公社)日本動物園水族館協会と環境省が協力して進める、
ツシマヤマネコの保護増殖事業に2006年から参画しています。
これまで動物日誌
[※]ではヤマネコたちの行動についてお話してきましたが、昨年末より体調を崩していた国内最高齢のツシマヤマネコ「もも」(メス)が
2025年1月7日に天寿を全うしました。18歳でした。

ツシマヤマネコ「もも」(2021年12月3日撮影)
ももは2006年4月に福岡市動物園で生まれ、井の頭自然文化園には2015年11月に移動してきました。
2018年12月に名古屋市東山動植物園へ移動しましたが、
翌年再び文化園に戻ってきました。これまで福岡で8頭出産し、その子どもたちも多く出産していますので、ツシマヤマネコの飼育下における個体数への貢献はいうまでもありません。

台の上でくつろぐ「もも」(2022年9月3日撮影)
晩年は動きもゆっくりになりましたが、お気に入りの台の上で気持ちよさそうにしていても、いつもの「口笛合図」をすると耳だけはクルクルと動かし反応している姿が印象的でした。穏やかで賢く、またとても記憶力がよく名古屋から戻ってからも、すみ慣れた場所と飼育スタッフの顔は覚えていました。
またハズバンダリートレーニング(健康管理のための馴致)でも、特出した能力を魅せてくれました。全国の動物園で飼育されてきたツシマヤマネコの中でも、これまで麻酔や保定をすることなく、それも開園中に多くの来園者が見ている前で補液ができるヤマネコはももだけです。文化園に戻ってから日常の飼育管理でトレーニングを重ね、飼育スタッフとの信頼関係を築いて知能の高さを証明して見せたその姿は、「すごい」の一言に尽きます。

補液しているようす(2022年5月5日撮影)
(トレーニングの動画はこちら)
ツシマヤマネコ「もも」、多くの感動とその魅力をありがとう。

ツシマヤマネコ「もも」(2021年9月17日撮影)
トレーニングのようす
〔井の頭自然文化園飼育展示係 唐沢〕
^ ◎動物日誌
・
ツシマヤマネコ飼育係は「糞」が大切!!(2018年06月08日)
・
ヤマネコ、糞からのメッセージ(2024年11月21日)
(2025年01月12日)