これまで2回に渡ってお知らせした葛西臨海水族園世界の海エリア「インド洋」水槽のカクレクマノミですが、現在3尾を展示し、イソギンチャクとの共生関係を見ることができます。
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「隠れないの?カクレクマノミ」(2012年03月23日)
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「続・隠れないの?カクレクマノミ」(2012年05月04日)
一般的にいうクマノミ類とイソギンチャクの共生とはどういうものでしょうか。共生とは、異なる種類の生物がお互いに影響し合ってくらしていることを指します。共生にも種類があり、互いに利益があれば「相利共生」、片方だけ利益がありもう片方には何も影響がなければ「片利共生」といい、害がある場合は「寄生」になります。
じつは、クマノミ類とイソギンチャクとの関係についてはさまざまな説があります。イソギンチャクの毒を利用してクマノミ類が敵から身を守るということは確かなようですが、「クマノミ類がイソギンチャクに餌を運ぶ行動が見られるから相利共生だ」「何も影響していないから片利共生だ」「イソギンチャクを食べている姿を見たことがあるから寄生だ」など、クマノミ類がイソギンチャクにどのような影響を及ぼしているのかがはっきりしていないようです。最近では、イソギンチャク内でクネクネと動く行動(ワッギング行動)が、新鮮な海水を送り込むことになり、「イソギンチャクが健康的に過ごすことができる。だから相利共生に違いない」という説が有力のようです。
水槽内のカクレクマノミは、ハタゴイソギンチャクの近くにある小石などを払いのけたり、触手の辺りをついばんだり、まわりの砂を掘ったりもします。相利か片利か寄生か……定かではありませんが、カクレクマノミのハタゴイソギンチャクに対するアクションにはバリエーションが多く、ほかでは見られない面白さがあります。
なんとか共生関係を見ていただけるようになった「インド洋」水槽のカクレクマノミとハタゴイソギンチャク。水族園にお越しの際は、ぜひ、じっくりと観察してみてください。いろいろな行動が見られますよ!
写真:3尾のカクレクマノミ
〔葛西臨海水族園飼育展示係 細谷有莉紗〕
(2012年06月15日)