以前のニュース「続・新たな視点で見てみると(29)トビハゼのディスプレー」「同(33)トビハゼの巣穴掘り『泥をペッ!』」「同(34)トビハゼの巣穴掘り『空気をパクッ』」に引き続き、2008年7月に葛西臨海水族園のすぐ側にある人工干潟「東なぎさ」でおこなったトビハゼの調査の際に撮影した映像をご紹介します。
・関連ニュース
「トビハゼのディスプレー」
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「トビハゼの巣穴掘り『泥をペッ!』」
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「トビハゼの巣穴掘り『空気をパクッ』」
けっして狭くはない東なぎさですが、トビハゼが巣穴を作っているエリアは限られています。穴を掘るのに適した柔らかい泥が堆積している部分が限定されているのがその要因の一つのようです。その場所にはトビハゼだけでなく、チゴガニやヤマトオサガニなど、泥干潟に穴を掘ってくらすカニたちも多く棲息しています。狭いエリアに多くのカニたちとトビハゼがくらしているので、時には「いざこざ」も起こるようです。今回のビデオはトビハゼとヤマトオサガニの巣穴を巡る小競り合いの場面です。
【トビハゼ対ヤマトオサガニ動画】
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ヤマトオサガニが掘っていた巣穴をトビハゼがチャッカリ横取りしようと、戦いを挑んでいるようでした。真剣に睨み合っている途中で、後ろから小さなカニにちょっかいを出されたトビハゼが感情的に怒っているように見えるのがなかなか面白く、三者の台詞が頭に浮かんで来るようでした。
人工的に作られた干潟で繰り広げられる生き物たちの自然な営み。次回の「新たな視点」ではヤマトオサガニの背中を流れる不思議な水についてお伝えします。
※「東なぎさ」は生物保護のため、ふだんは人の立ち入りが禁止されています。
写真:にらみあうトビハゼとヤマトオサガニ
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2011年11月18日)