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続・新たな視点で見てみると(17)
 深海調査に行ってきました「しんかい6500は潜航中」
 └─葛西  2010/03/26

 「深海調査に行ってきました」3週目はいよいよ「しんかい6500」が5000メートルの深海に潜ります。

・第1回
 「深海調査に行ってきました『調査決行!~潜水開始』
・第2回
 「深海調査に行ってきました『しんかい6500は準備OK!』

【動画】Windows Media QuickTime

 有人潜水調査船「しんかい6500」は、無人探査機「ハイパードルフィン」などと違い、母船とケーブルで繋がっていません。ケーブルがないということは、海中を自由に動けるメリットがある反面、海中のようすを母船に伝えることが難しくなります。

 無線通信というと「電波」が思い浮かびますが、電波は水中を伝わりにくいので、深くまで潜る「しんかい6500」には使えません。そこで母船との交信には「音波」、つまり「音」を使用しています。音波を使えば、もちろん会話をすることができますが、画像も送ることができます。ただし、音が届くのに時間がかかるのと、一度に送ることができるデータ量が限られるので、母船にいる人間は、ゆっくり書き換わる静止画で深海のようすを見ることになります。

 水深5000メートルまで潜航した「しんかい6500」ですが、10か月前に深海に設置した目標物がなかなか見つかりません。海が荒れていたせいで、次の潜航チャンスはもうありません。探す場所を少しずらしたりして、ようやく見つかったときは船内に拍手がわきました。

*協力:独立行政法人海洋研究開発機構[JAMSTEC]

*葛西臨海水族園では、2010年3月20日(土)から、不思議な深海生物の世界を紹介する特設展示「あなたの知らない深世界」を開催中。JAMSTEC の調査で得られた貴重な標本や深海に沈んだ鯨の骨にすみつく「ゾンビワーム」の生体が見られます。この機会にぜひご来園ください。

写真上:母船「よこすか」にある管制表示部
写真下:「しんかい6500」逞しい左腕

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2010年03月26日)



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