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暑い夏、ミストを浴びてアルパカも一息
 └─上野  2009/07/31

 上野動物園子ども動物園にある「ともだち牧場」では、今年もさまざまな暑さ対策を試みています。これまで、ミゼットホースのたてがみやしっぽを結んだり、大きなプールを設置したり、氷を与えたりして、猛暑を乗り切ってきましたが、今年はそうはいきません。暑さに弱いアルパカのモコがいるからです。

・ニュース「ミゼットホースの三つ編」(2006年07月07日)
・ニュース「ラーマ君、夏バテ?」(2007年08月31日)

 アルパカの体は、細くてフワフワした柔らかい毛に覆われています。夏前に毛刈りをしましたが、柔らかいその毛はふつうのバリカンでは充分に刈ることができませんでした。羊毛やカシミヤよりも暖かいといわれる毛をまとったモコに、この暑さはこたえます。そのせいで、モコは朝から土の上に寝そべり、呼吸も荒くなっていました。熱中症になるのではないかと毎日心配していたのです。

 そこで、水浴びが大好きなラマと同じように、水をかけてやろうとしたのですが、水が苦手……。モコも逃げ惑います。それならばと、運動場とモコの部屋を行き来自由にしました。部屋にはクーラーがあるのです。ところが、肝心のモコは部屋に入らず、ミゼットホースやロバが入りびたる結果となりました。

 そこで最終兵器として設置されたのが、「ミストスプリンクラー」です。これはその名の通り、霧状になった水を周囲に散布する機械です。本来、地中の水道管に接続し、地面の近くに設置する機械なのですが、とにかく早く暑さをやわらげてやろうと考え、屋根と屋根の間にワイヤーを張り、そこに吊り下げることにしました。施設管理担当の職員が集結し、工事は半日で終了!

 現場にいた職員全員が見守る中、スプリンクラー作動! 「プシュー」と音をたてて霧が舞い、周囲にひんやりとした空気が流れました。動物たちは初めはびっくりしていましたが、まず水浴び大好きのラマ、そしてミゼットホース、さらにロバが続きます(ちなみにロバのリリーも水が大の苦手)。

 水の苦手なモコはというと、意外にも霧があたる場所に座りこみ、しきりに砂浴びをしていました。それからというもの、動物たちのようすを見ながら、毎日数回スプリンクラーを動かしています。それまで午後2時ごろになるとモコを涼しい部屋に戻していましたが、今では最後まで運動場にいることができるようになりました。スプリンクラーさまさまです。

 みなさんも暑い日には、動物たちがスプリンクラーで涼む姿をごらんください。なお、動物の体調により、通常より早く部屋に戻ることもありますので、ご了承ください。

〔上野動物園子ども動物園係 橋川真弓〕




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