日中の気温が30℃をこえる日も増え、夏らしくなってきました。上野動物園の子ども動物園にも、すっかり夏気分のよそおいをした動物がいます！

　──それはミゼットホースの「しのぶ」と「トウキ」です。これまでおろしていた長いたてがみとしっぽを三つ編にしたのです。たてがみは、細い三つ編がいっぱい！　しっぽは編み込み結び！

　髪の長い方はおわかりと思いますが、夏に髪をおろしていると首が蒸れたりします。馬も、人間と同様、よく汗をかきます。ミゼットホースたちも、とくに暑い日は、たてがみの下が蒸れて汗ばんでいました。

　そこで、休園日にまるごと体を洗ってやりました（馬用のシャンプーもあるんですよ！）。そして、きれいになったたてがみとしっぽを編んでいきました。馬たちのためにやっているのに、「飽きた～」、「ごはんちょうだい」と、とにかくじっとしていません……。

　　でも、ここは飼育係の腕の見せどころ！　うまくなだめながら、編み上げてやります。その後も、ときどき編み直していますが、ミゼットホースは背が低いので、こちらも中腰で作業しなければならず、腰は痛いわ腕は痛いわでタイヘンです。とはいえ、最初は編み終えるまでに約30分かかっていたのが、今では約15分ですむようになりました。

　馬場馬術をおこなう馬たちは、たてがみやしっぽを編んでやると、「やるぞ～」とばかり、気が引きしまるといいます。しかし、しのぶやトウキは気が引きしまるというか、なんというか……。快適さはまちがいないようで、大好きな砂浴びの回数が、三つ編にしてから増えました。

　でもそのおかげで、夕方になると、たてがみはボッサボサ、砂まみれ……。ときには結んでいるゴムが切れ、「どこの落ち武者か？」と見まちがえるくらいです。しかしここまで徹底的にやってくれると、逆に爽快感さえ生まれます。

　みなさんも運がよければ、落ち武者すがたのしのぶやトウキを見られるかもしれません。ぜひ子供動物園に遊びに来てください!!

〔上野動物園子ども動物園　井上真弓〕

写真上：たてがみを三つ編にした「しのぶ」
写真中：トウキ
写真下：しっぽは編み込み結び！

（2006年７月７日）