◎捕獲せよ!シリーズ(?)第3弾
──新しいタヌキの群れ入り
「あれ?いつの間にか1頭増えてた?作戦」
2008年10月8日、タヌキを全頭捕獲しました。その目的は、年1回のワクチン注射。それと、9月9日に園内で保護されたタヌキの群れ入りです。
群れ入りさせる個体を除くと、タヌキ山のタヌキは8頭です。8頭のうち7頭は8~10歳。当園では10歳前後が寿命なので、高齢の個体ばかりということになります。もう1頭は、昨年(2007年)保護されて仲間入りした若いメスで、名前は「チャチャ」と言います。
7頭の高齢タヌキは、若いころよくケンカをしたようですが、最近は争うことも少なく、みんなでいっしょに昼寝をしたり、いつも穏やかな雰囲気です。歳は動物の性格を丸くするんだなぁ……という感じです。
これら8頭に加えて今回群れ入りさせるタヌキは、「ビビ」と名づけたメスです(第一印象が“ビビリ屋さん”だったので)。ビビの顔はまだ幼く、体もほっそりとしていることから、今年(2008年)の春生まれた個体であると思われます。
「なぜ全頭捕獲に合わせて、群れ入りさせるの?」と疑問に思った方も多いかと思います。タヌキたちにとって捕獲されることは、とてもイヤなことです。追いかけられ、網で捕まえられ、注射を打たれ、大パニックです。何がなんだかわからない!
そんな状態のときにビビを群れ入りさせることで、群れのタヌキから攻撃を受ける可能性を減らそうというわけです。落ち着いたころには、いつの間にか1頭増えているという算段です。名づけて「あれ?いつの間にか1頭増えてた?作戦」です。
「こんな作戦でほんとにうまくいくの?」とお思いの方、じつは昨年も同じ作戦でチャチャを無事に群れ入りさせました。「今年もうまくいくといいな」と思いつつ、「今年は若いチャチャがいるから、もしかしたらビビの存在に気づいてしまい、攻撃をしかけるのではないか」と心配していました。
しかし、作戦を実行した結果、大パニックの中でビビに気づく個体はありまあせんでした。作戦開始15分後には、2頭のタヌキといっしょに巣穴に入るビビを確認することができました。
これからビビが少しでも早く群れになじみ、チャチャといっしょにタヌキ山で若いパワーを発揮してくれることを願っています。
※保護された動物を飼育する場合は、届出による使用許可を得なければなりません。
写真上:捕獲のようす
写真中:チャチャ
写真下:ビビ
〔多摩動物公園南園飼育展示係 吉田真理子〕
・捕獲せよ!シリーズ第1弾「
ヒマラヤタールの角を切れ!!」
・捕獲せよ!シリーズ第2弾「
ニホンコウノトリを捕まえろ!!」
(2008年10月10日)