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ライチョウの飼育繁殖に取り組みます
 └─2015/05/25

 上野動物園では、絶滅危惧種であり、国の特別天然記念物である、日本に生息するライチョウの飼育繁殖に取り組むことになりましたので、お知らせします。

経緯

 上野動物園はこれまで、絶滅が危ぶまれているライチョウの保全に貢献するため、国内で最初に、近縁の亜種であるスバールバルライチョウを導入し、飼育繁殖に成功しました。また(公社)日本動物園水族館協会(以下「日動水」という)を通じて、国内の動物園・博物館と協力し、その技術の研鑽と普及に努めてきました。
 このたび、環境省から、日動水、東京都(上野動物園)および富山市(富山市ファミリーパーク)が実施するライチョウ保護増殖事業について、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下、「種の保存法」という)に基づき、国が定める保護増殖事業計画に適合している旨の連絡を受け、本格的に飼育下での日本に生息するライチョウの保護増殖に取り組むこととしました。

確認、認定について

 種の保存法では、地方公共団体またはその他の者が実施する国内希少野生動植物種の保護増殖事業について、国の保護増殖事業計画に適合している旨の環境大臣の確認(地方公共団体の場合)又は認定(その他の者の場合)を行うことができるとされています。
 確認又は認定を受けることにより、譲渡し等の禁止など国内希少野生動植物種にかかる規制の一部が適用除外となり、動物園における飼育繁殖の取組を円滑に実施することが可能になります。

事業計画の概要

 本事業は、日動水の事業計画をもとに取組をおこないます。計画の概要は以下のとおりです。

①目標 
 ライチョウの飼育下繁殖技術を確立し、野生復帰させ得る資質を備えた本種の生息域外個体群を形成、維持するとともに、動物園等における普及啓発を推進する。

②事業内容
・飼育下繁殖の実施および技術確立
 別亜種スバールバルライチョウの飼育技術を応用し、ライチョウの飼育下繁殖を実施し、飼育下繁殖技術を確立させる。また、スバールバルライチョウによる継続的な知見・技術蓄積に努め、ライチョウの技術確立に活用する。

・体制の構築
 日動水、環境省との調整、情報共有を随時行い、飼育下繁殖の実施を円滑に進める。

・普及啓発
 生息域外保全に支障がない場合にはライチョウおよびスバールバルライチョウを各飼育施設で展示し、ライチョウの現状や保護増殖の取り組みなどについて、動物園等において効果的な普及啓発活動を推進する。

③事業計画の期間
 10年間(2015年5月29日~2025年5月28日)


ライチョウ(夏羽)

◎過去の関連ニュース
スバールバルライチョウ飼育の試み──季節逆転と人工授精で冬の繁殖へ(2011年02月04日)

スバールバルライチョウ、真冬の産卵(2013年12月20日)

◎動画(東京ズーネットBBより)
「ホッキョクグマとアザラシの海」〔3〕スバールバルライチョウ(2011年10月27日撮影)

(2015年05月25日)


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