ニュース
続々・新たな視点で見てみると[21]不要になったシッポの行方:トウキョウダルマガエルの変態
 └─2018/11/18

 井の頭自然文化園水生物館では、飼育しているカエルたちが今年も卵を産み、孵化したオタマジャクシが成長して上陸し、無事に次の世代のカエルが育っています。


 水中生活をしていたオタマジャクシに手足が生え、遊泳に使っていた尾はしっかり残ったまま上陸してきます。


今年(2018年)9月1日。バックヤードの水槽で上陸を始めたトウキョウダルマガエル

 前肢が生えてしばらくすると、水中で呼吸するために役立っていたえら穴(噴水孔)がふさがってしまい、肺呼吸への切り替えがおこなわれます。このとき、できたばかりの貧弱な手足で上陸できるような場所がないと、溺れて死んでしまうこともあります。


2018年9月24日撮影。尾もすっかりなくなり、小さいながら見なれたカエルの姿になる

 カエルのお尻にシッポはありません。上陸したときにあった立派なシッポはどこに行ってしまったのでしょうか? 陸上生活でいらなくなったシッポをこれだけの数のカエルたちが切り離していたとしたら、水槽のあちらこちらに「元シッポ」が落ちているはずですが……。撮影して確かめてみました。


【動画】前肢が生えてきそうなオタマジャクシを、水中と陸上が半分ずつあるケースに入れて13日間撮影(夜は暗くなるが、カメラが自動で調整するため同じような明るさで撮れている)


 映像を確認してみると、初上陸から10日間ほどかけて、だんだん尾が小さくなっていくのがわかります。この間、食べ物を口にすることはないので、体に取り込まれた尾はエネルギーとしても役立っていそうです。6日目に上陸してからはほとんど水中に戻ることがなかったのは意外でした。13日目にカエルとしての体が完成したのか、活発に動き始めたので撮影を終了しました。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2018年11月18日)


ページトップへ