ニュース
続々・新たな視点で見てみると[13]──前肢は突然に:ニホンアカガエルの変態
 └─2018/05/25

 井の頭自然文化園水生物館では現在、7種類のカエルを飼育しています。2018年は2月27日にニホンアカガエルが裏の水槽で産卵をして、3月7日からオタマジャクシの孵化が始まりました。ゆでたホウレンソウなどを食べてオタマジャクシは成長し、5月5日からカエルに変態をして上陸を始めました。


手足の生えたニホンアカガエルのオタマジャクシ。この後上陸し、尾も吸収されてなくなっていく

 『お玉杓子は蛙の子』の歌詞「やがて手が出る足が出る♪」を覚えている方も多いと思いますが、成長したオタマジャクシには先に足(後肢)が生えてきます。その後肢が立派に育ってから手(前肢)が出てくるのですが、前肢は割としっかりしたものが突然出てきます。

 これは、前肢が生えてくる前に皮膚の下で十分育っているからなのですが、成長した前肢が皮膚を突き破って出てくるという瞬間を見たくて、後肢が立派に育ったオタマジャクシをガラスの水槽に入れ、下側から撮影してみました。


【動画】腹側から撮影したオタマジャクシ。皮膚の下に指の生えた前肢が透けて
見える。前肢が出てくる瞬間の繰り返しは6.5倍のスローモーション

 いくつかの資料には、体の左側だけにある呼吸のための噴水孔から左前肢が先に出てきて、その後、右前肢が皮膚を突き破って出てくるとの記述があるのですが、今回観察した8匹のうち、左前肢が先に出てきたのは1例だけでした。撮影した個体も含めて7匹は右前肢が先に出てきたので、条件などにより右が先になることもあるようです。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2018年05月25日)


ページトップへ