前々回の孵化、
前回の摂餌に引き続き、水生物館で育てたゲンゴロウの映像をお伝えします。
昆虫は成長するときに脱皮をして大きくなることはよく知られていますが、水中でくらすゲンゴロウも同じく脱皮をして育っていきます。卵から孵化した1令幼虫は成長するにしたがって2回脱皮をして、3令(終令)幼虫にまで大きくなります。
脱皮直後の3令幼虫。右の2令時の抜け殻とくらべると頭部が大きくなったのがわかる
十分にエサを食べている幼虫は胴体部分(脚の生えている胸部+その後ろに続く腹部)が少しずつ大きくなっていくのですが、頭部は硬い外皮に包まれているので大きく成長させることができません。そこで脱皮をして外皮が柔らかいうちにサイズを大きくするのです。
【動画】映像前半は2令幼虫の脱皮の様子。後半は脱皮が近いと思われる2令幼虫を12匹並べてみた
2令として十分に大きくなった幼虫は、えさを食べなくなり脱皮準備に入ります。「そろそろ脱皮する」ということはわかりますが、実際に何時間後に脱皮が始まるかわかりませんし、その日は脱皮しないかもしれません。ずーっと幼虫に付き合って撮影しているわけにもいきませんので、今回の映像もタイムラプス撮影です。
コマ送りのような映像ですが、背中の外皮が割れ始めてから古い殻を完全に脱ぎ終わるまで10分20秒かかりました。映像の後半は「共食い」を防ぐために1匹ずつ飼育している容器の中で、脱皮が近いと思われるものを12個並べてみました。一晩かけて撮影してみたところ、8匹が2令から3令に脱皮しました。
次回は1令とくらべて“狂暴”になった3令幼虫の摂餌を紹介します。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕
(2017年09月29日)