毎年8月12日は「世界ゾウの日」です。「世界ゾウの日」は2012年8月12日、野生生物を中心とした映像作品の制作・監督をしているカナダ人の Patricia Sims氏とタイの保護団体
Elephant Reintroduction Foundation によって設立された、世界中でゾウの保護を呼びかける日です。上野動物園はこれに賛同し、ゾウについて知っていただくための催しをこれまで実施してきました。今年はWWFジャパンと共同で動画コンテンツやネット記事を提供します。
ゾウは、アフリカ大陸に生息するアフリカゾウとマルミミゾウ、東南アジアに生息するアジアゾウの3種に分けられます。現在、3種すべてが絶滅の危機に瀕しています。その大きな原因は、私たち人間の活動です。野生のゾウの詳しい情報は、
WWFジャパンの記事をぜひ、ご覧ください。
本日8月12日から3日わたり、動物園のゾウの現状についてお伝えします。じつはそれほど遠くない未来に、動物園でゾウが見られなくなる日が来るかもしれません。
上野動物園ではアジアゾウを4頭飼育していますが、日本の動物園全体では32園で84頭を飼育しています。一見十分な頭数のように思われるかもしれませんが、このうち繁殖可能な年齢のゾウは半分近くの45頭にすぎず、さらに、その中でオスとメスをいっしょに飼育している動物園は15園しかありません。
これまで国内の多くの動物園でゾウを飼育してきましたが、上手く繁殖させることができなかったため、動物園のゾウは少子高齢化が進んでいます。公益社団法人日本動物園水族館協会によると、このまま海外から新しいゾウの導入がなく、繁殖もない場合、50年後には国内の動物園で飼育されるアジアゾウの数は10頭ほどになるという予測も立てられています。
上野動物園のアジアゾウ
私たち公益財団法人東京動物園協会の使命の中の一つが「人と動物の共存に貢献すること」です。動物園には、地球上の野生動物を守り、後世に伝えていく責任があります。しかし、このままでは動物園でゾウが見られなくなるかもしれません。
それを防ぐためには、今すぐにでもゾウの飼育頭数を増やすための取り組みをしていくことが重要です。そのためには「海外から新しいゾウを導入する」「繁殖して増やす」の2つの方法がありますが、それを実現するには課題は少なくありません。この課題について次回「
8/12は『世界ゾウの日』! 動物園のゾウを守るために[その2]」と「
8/12は「世界ゾウの日」! 動物園のゾウを守るために[その3]」で詳しくお伝えしますので、ぜひご覧ください。
知りたい! 野生のゾウをとりまく環境、課題 WWFでは、ゾウをより深く知るための情報を多数用意しています。動物園スタッフもてこずる?激ムズゾウクイズや、野生ゾウをとらえた映像、ゾウを守るために知っておきたいことなど、もりだくさんです。ぜひ、こちらのスタッフブログをご覧ください! | |
特別動画
世界ゾウの日に合わせて撮影した特別動画。ゾウ舎に入った飼育係の視点で超至近距離からゾウについて解説します。ぜひご覧ください!
【上野動物園】アジアゾウを超至近距離から解説してみた(東京ズーネットYouTubeチャンネル)
多摩動物公園の「世界ゾウの日」企画展
多摩動物公園では
ゾウの生態と野生の現状を伝えるパネル展示を開催中です!(2020年9月1日まで)
〔上野動物園東園飼育展示係 三塚修平〕
(2020年08月12日)
(2020年08月13日:[その2]のリンクを追加)
(2020年08月14日:[その3]のリンクを追加)