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ペレット飼料ってなに?
 └─ 2025/03/21
 動物園で使用している飼料の中に「ペレット」と呼ばれるものがありますが、この言葉を聞いたことはありますか? おそらく聞いたことのある方は少ないと思います。

 ペレットとは固型物の形状を指す言葉ですが、「固型飼料」というさまざまな材料を粉末にしたあと、圧縮した動物の飼料のことを「ペレット」と呼んでいます。イメージしやすいものですと、ドックフードやキャットフードもペレットです。

 動物用のペレットはさまざまな種類があり、多摩動物公園でおもに利用しているものだけでも10種類以上あります。与える動物の種類や食性ごとに材料を変えており、それぞれに必要な栄養素が含まれ、大きさや形状も動物の種類ごとに食べやすいように合わせて作られています。


多摩動物公園で使用しているおもなペレット

 動物園でペレットを使用することには多くの利点があります。例としては、保存がきき、腐敗しにくいので衛生的であり、管理もしやすいため園内で在庫を多く持つことができ、長期的に安定した給餌計画を立てることができます。

 また、動物だけではなく飼育係にもメリットがあり、加工の必要がないため調餌の手間がかからず作業時間の短縮ができたり、使用量の変更もしやすかったりします。

 ペレットは前述したとおり種類ごとに材料が違い、それぞれに必要な栄養素が含まれているため、多くの動物の必要とする栄養素をおおむね満たすことができます。しかし、ペレットは少量で必要とする栄養素を満たしてしまうので与える分量がコンパクトになり、採食時間が短くなってしまいます。

 動物は1日の大半をえさを探して採食する時間に費やしているため、採食に要する時間が短くなってしまうと何もしない時間が多くなってしまいます。また、天然のえさに比べて繊維質や水分が少なく、腹持ちが悪く、満腹感を感じにくいことや味わいや食感なども低いので、都立動物園では、ペレット以外にも青果類や魚、肉類、牧草などを与えています。

 ほかにも、飼育係のくふうによりフィーダーなどを利用してペレットを採食する時間を延長し、えさを食べる楽しみを少しでも多くするようにしています。

 ペレットの中には油分が多く含まれているものもあり、湿度や気温が原因で酸化しやすいことも弱点として挙げられますので、ペレットを保管している部屋(通称「ペレット倉庫」)では、気温を常に約20℃に維持してペレットの酸化を防いでいます。


ペレット倉庫のようす

 多摩動物公園では、飼育している多くの動物種にペレットを使用しています。動物種ごとに合わせて作られているので、どの動物がどのような大きさ、形のものを採食しているか注目してみてみることもおもしろいかもしれません。

 また、食性に合わせた給餌方法もしています。たとえば、フラミンゴ用のペレットのように水に浮かせて与えるものもあるので、動物がどのようにペレットを採食しているのかにも注目してみてください。

〔多摩動物公園調整係 望月〕

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