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オオアカウキクサという植物をごぞんじでしょうか? 名前にウキクサとありますが、よく知られる種子植物のウキクサのなかまではなく、水面を浮遊するシダのなかまです。葛西臨海水族園では野外の「水辺の自然」エリアの「池沼」や「流れ」で展示しています。夏は緑色をしていますが、冬場の現在は紅葉し、水面を浮遊しているようすが観察できます(写真)。
オオアカウキクサの体の中には、アナベナという藍藻の一種が共生しています。アナベナは空気中から窒素を取り込み、オオアカウキクサにも栄養を与えていることから、オオアカウキクサは水中だけでなく、空気中の窒素も栄養源として利用できるのです。
実際、春から夏のオオアカウキクサの繁殖力はすさまじく、毎週のように取り除かないと水面が覆いつくされてしまううほどでした。水面が覆われてしまうと、他の水生植物や植物プランクトンが光合成できなくなり、それを利用している生物たちへの悪影響も考えられるため、頻繁に網を使って取り除く必要がありました。
しかし、夏のあいだ飼育係の手をさんざんわずらわせたオオアカウキクサも、冬になって気温が低下するにつれ、繁殖力が低下し、以前ほど頻繁に作業しなくてもすむようになってきています。
水族園ではやっかいもの?のオオアカウキクサですが、野外で見つけようとするとけっこう大変です。じつはオオアカウキクサは、環境省が絶滅危惧種に指定するほど数が減っているのです。野外では、冬でも乾燥せず、湧水が残っているような条件のよい湿地で見ることができます。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕
(2008年01月11日)
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