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タチウオを展示しました
 └─2011/09/23

 葛西臨海水族園では、2011年9月15日から「深海の生物」コーナーで、タチウオの展示を始めました。現在、約50尾のタチウオが見られます。

 タチウオは、水槽の中で頭を上にして立ち泳ぎをしています。この泳ぎ方から「立ち(たち)魚」という名前だと思われがちですが、本当のところは、姿かたちが日本刀に似ているために「太刀(たち)魚」と名づけられたようです。

 では、水槽で観察してみましょう。
 多くの時間タチウオは、立ち泳ぎで同じ場所にじっとしているか、静かに移動しています。タチウオの背中には、頭から尾までの大きな背びれがあり、ゆっくり波立たせているのが観察できます。しかし何かに驚くと素早く泳ぎ、そのときは普通の魚と同じように頭を前に向けて水平になり、背びれをより早く波立たせて進みます。背びれが大きいのとは対照的に、腹びれと尾びれはなく、しりびれも皮の下に埋まっていて見えません。胸びれも小さくあまり役立っているようではありません。ほとんど背びれだけで遊泳する変わった体のかたちになっています。

 タチウオは、大きな口に鋭い歯が生えており、主に水中を泳いでいる魚類やそのほかイカ類、エビ・カニ類も襲って食べます。
 水族園では、生きた餌を常に用意するのは難しいので、死んだキビナゴやサクラエビを釣り糸でつるして動かし、餌に慣らしていきます。なかなか難しい作業で根気強く続ける必要があります。
 今回の展示ではまだ水槽で餌を食べたタチウオはいませんが、毎日餌に慣らすことで、だんだん食べ始める個体が出てきます。1尾が食べ始めると、ほかの魚もつられて食べ始めるので、とにかく最初の1尾でも餌を食べてくれるのを心待ちにしています。

 そのほか飼育上で難しいことは、光の状態にとても敏感な点です。最初水槽を明るくしすぎたため、落ち着かなくなり激しく泳ぎまわってしまいました。これでは壁に体をこすって傷ついてしまいます。現在は照明を少し薄暗くしています。神経質で飼育が難しい魚ですが、長く展示できるように奮闘中ですので、ぜひ日本刀のように美しいタチウオの姿を見に来てください。

・関連ニュース「タチウオの夜釣り」(2004年02月20日)
・関連ニュース「釣り採集でタチウオが増えました」(2006年06月16日)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕

(2011年09月23日)



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