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釣り採集でタチウオが増えました──葛西 2006/06/16
 葛西臨海水族園の「深海の生物」のコーナーでは、タチウオを展示しています。2006年6月14日、水槽にタチウオを追加するために釣り採集をおこないました。食べてもおいしいタチウオは、釣りの対象魚として夏場に人気がありますが、今ごろ釣れる個体は小さなものが多く、一般の釣りには不向きです。しかし、水族園で採集するには小さいものが理想的です。というのも、小さな個体の方が採集後の輸送がしやすいからです。

 釣り採集は早朝におこないました。タチウオは夜間、餌を食べに海の浅いところまであがってくるようです。魚群探知機でタチウオの群れの位置を細かく調べながら船を移動させ、餌をおろす深さを変えていきます。餌をおろす深さは30メートル前後と浅かったのですが、魚が小さいためアタリが小さく、釣るのには苦労しました。

 今回、全長40~70センチの小型の個体約20尾のタチウオを採集、輸送することができました。実際の海では水深 200メートルまでの砂地の海底ちかくを群れで行動しています。

 現在、水槽でもタチウオの群れが見られます。メタリックに輝く金属的な体と垂直に立って泳ぐすがたから、「太刀魚」なのか「立ち魚」なのかとよく聞かれます。口からは鋭い歯が見え、いかめしい顔つきとメタリックな体で水槽内を群れで泳ぐすがたは、まさに「太刀」が林立しているように思えてなりません。

 タチウオは与えた餌を順調に食べてくれるようになるまで時間のかかる、とても神経質な魚です。すでに餌に慣れている個体につられて食べてくれるよう、いろいろと工夫してみたいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

写真上:タチウオの顔
写真中:林立するタチウオ
写真下:タチウオを釣る

(2006年6月16日)



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