イヌワシを譲渡しました —野生復帰試験へ協力—

ニュース
2026年5月19日

多摩動物公園では、このたび環境省のイヌワシ保護増殖事業計画に認定されている「南三陸地域イヌワシ生息環境再生プロジェクト協議会」へ、試験放鳥用としてイヌワシ(亜種ニホンイヌワシ)を譲渡しましたのでお知らせします。本計画によりイヌワシの野生復帰が実現した場合、日本初の取組となります。

譲渡したイヌワシ

羽数

1羽

性別

メス

年齢

57日齢(譲渡日時点)

孵化日

2026年3月20日(金)

譲渡日

2026年5月16日(土)

譲渡したイヌワシ(撮影日:2026年5月3日)

経緯

当園は1998年のイヌワシの初繁殖成功以来、累代飼育を続け、約30年にわたり国内の飼育下個体群の維持に貢献してきました。2025年11月、公益社団法人日本動物園水族館協会 生物多様性委員会 ニホンイヌワシ計画推進会議の決定を受け、「南三陸地域イヌワシ生息環境再生プロジェクト協議会」(※1)へイヌワシを試験放鳥用として譲渡し、生息域内保全活動に協力することとなりました。

本計画は、すでにヨーロッパなどで確立された「ハッキングの手法」(※2)により取り組むこととされ、巣立ち前の幼鳥を用いる必要があることから、2025年冬から翌春の繁殖シーズンに向け、園内の繁殖用ケージ3か所に3つのペアを用意しました。監視カメラの映像から、そのうち1ペアで2月7日に産卵があったことを確認しました。同ペアはその後もう1卵生み足しましたが、1卵のみが3月20日に孵化しました。親が運んだえさをヒナに口移しで与えるようすも映像上みられ、5月6日には親が運んだえさを自力で採食しており、順調に生育できていることが確認できたことから、5月16日にこの個体を同協議会へ譲渡しました。

現在、同協議会が南三陸地域山中にあるハッキング小屋で当該個体を野外に馴らす訓練をおこなっており、今後、巣立ちのタイミングで放鳥する予定です。

※1
宮城県の南三陸地域において、イヌワシが生息できる環境を再生する計画に取り組む官民一体の団体で、公益財団法人日本自然保護協会もその一員
※2
巣立ち前の幼鳥を「ハッキング小屋」と呼ばれる施設内で、ノウサギやヤマドリ等の野生動物で餌付けしながら育て、周囲の環境に慣れさせた後、段階的に小屋の扉を開放し、幼鳥が小動物を自ら捕食する能力を獲得するまでのあいだ、半野生状態で訓練する手法
多摩動物公園での飼育状況
(2026年5月19日現在)

14羽(オス10、メス4、不明0)
※今回譲渡した幼鳥は含みません。

国内の飼育状況
(2025年12月31日現在)

11施設 45羽(オス27、メス17、不明1)
資料:ニホンイヌワシ国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】