自然さとメンテナンス性のはざまで──カエル水槽のリニューアル
2026年10月9日
多摩動物公園にある、現在臨時休園中の昆虫生態園「里山のカエル」コーナーでは、展示水槽のレイアウトを更新する作業を進めています。
このコーナーの水槽は、本物の植物を植えて自然な景観を再現しているのが特徴です。2019年の展示オープンから6年が経過して、植物も成長して立派になったことは喜ばしいのですが、その成長にともなって、水槽内の床材(砂や土)の劣化が進む、根が全域に広がって清掃や排水が困難になるなど、年数経過ゆえのデメリットも無視できなくなってきました。
デメリットを改善するためのメンテナンス自体も苦労する状況になっていたので、リニューアルをおこなう頃合いだろうと考えて、まずは一番左の水槽から更新作業を進めていくことにしました。
今までの水槽のレイアウトは、昆虫園でも古くから多用されている、土を盛って高低差をつけて植物を植え付けるスタイルでしたが、今回は水槽の底まで土を入れずに表層のみを自然物、地下部分を人工物で構成して、今までのレイアウトで困っていたメンテナンス性(即座に解体可能)や通水性を長期にわたって維持できる構造を目指しました。今回使ったものは水槽専用の用品ではなく、機能的に代用できるものを用意して組み合わせています。
基本となる土台部分に使っているのは「ジョイント可能なメッシュ状のスノコ」です。複数を繋ぎ、積み重ねていくことで「水と空気が通る安定した土台」の役割を果たしています。水中に沈めるため水より重い素材にしています。
観覧通路側から見える水槽の前面部分にスノコが見えると違和感が出てしまうため、そちらにはスノコを敷かずに数cm分のすき間を作り、天然の土を敷き詰めていきます。
10cmほどの高さまでスノコを積み上げたあとは、「鉢底用のネット」として販売されているものを、カゴ状に加工して設置します。このかごに数cm分の軽石や粒子状の土を薄く敷き詰めて、零れ落ちないようにしつつ、メンテナンスをしたいときには、カゴごと持ち上げて取り出すことができるようにしました。
植物は穴やスリットの空いた植木鉢に植えた状態で設置します。最後は保水性のある布を部分的に設置して、その上に苔を植え付けてひとまず完成です。こうすることで、表面上は自然な水槽に見える、というわけです。
しばらくは植物が小さく、立派な雰囲気になるには時間が必要です。そのため、苔や植物が落ち着き次第、樹上性のカエル用の止まり木の設置も進めていきます。ただし、カエルたちの利用状況によっては、レイアウト全体の調整や見直しも必要になるため、理想の形にたどり着くのはまだまだ先です。生態園が再開した際にはぜひ、新しくなったレイアウトの姿と日々の変化を観察しにいらしてください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 渡辺〕

