シロテテナガザル舎に新しいフィーダーを設置しました
2026年9月25日
多摩動物公園では3頭のシロテテナガザルを飼育しています。オスの「テテ」とメスの「ミツ」、そして2頭のあいだに生まれたオスの「ハリ」です。今回は、日々の「食べる」という行動に注目した、採食エンリッチメントについてご紹介します。
シロテテナガザルは、果実や葉、昆虫などをえさとしています。野生では長い腕を使って樹上を移動しながら採食場所となる木を目指し、そこから熟れた果実など食べられるものを取り出し選び、器用な手や指を使って食べます。えさを探して見つけ、手を使って口にいれるまでが一連の採食行動と言えます。
しかし、動物園では必要なえさが用意されているため、野生のように時間をかけてえさを探す機会がほとんどありません。そこで、えさを食べることだけでなく、えさを探したり、手を使って取り出したりする行動も引き出せるよう、フィーダー(給餌装置)を新しく設置しました。
今回新たに設置したフィーダーは、ドラムやプラスチックケース、消防ホース、穴の空いたゴム製の犬用のおもちゃなど、さまざまな材料を使いました。フィーダーの中には、穴から取り出せる大きさに切った果物やレーズン、サル用のペレットなどを入れています。今回作成したフィーダーは、すべて柵の外側に取り付けています。あえて柵の外に取り付けることで、えさを取る難易度を上げることができます。また、フィーダーを壊されにくくすることに加え、シロテテナガザルが放飼場にいるときでもえさを取り付けることができます。
実際に設置してみると、3頭それぞれで反応が違いました。新しいものに対して一番早く近づいてくるのは、母親のミツです。ミツは3頭のなかでも一番強く、比較的物怖じしない性格なので、新しいフィーダーを設置するとすぐに近づいてきて、フィーダーを使い始めます。
そのようすを近くで見ているのが息子のハリです。ハリはミツがフィーダーを使っているあいだは少し離れたところでようすを見ています。ミツがその場を離れると、フィーダーに近づいてきてえさを取りに来ることがあります。
しかし、フィーダーが1つだけだと、ミツが先にえさを取ってしまい、ハリやテテが使う機会が少なくなってしまいます。そこで種類や設置場所を変えた複数のフィーダーを用意することで、それぞれがフィーダーに取り組めるようにしました。こうすることで、ハリがフィーダーを使う姿もよく見られるようになりました。
いっぽう、父親のテテはまだフィーダーを警戒しており、離れたところからようすを見ていることが多く、実際に使っている姿はまだ確認できていません。
同じ群れでくらしている3頭でも新しいものに対する反応やフィーダーの使い方には違いがあります。今後も3頭それぞれの性格や反応を観察しながら、テテも安心して近づけるようなフィーダーや、3頭それぞれが楽しめる仕組みを考えていきたいと思います。シロテテナガザルが本来持っている能力を発揮できる機会を増やし、アニマルウェルフェア(動物福祉)の向上を目指していきます。
〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 中村〕

