チンパンジー「ケイ」──群れのなかまとすごせるようになるまで

2026年9月4日

多摩動物公園で飼育しているチンパンジーの「ケイ」(メス、1980年7月生まれ)は、2017年に東武動物公園から来園しました。人工哺育で育ったケイは、ほかのチンパンジーとすごす時間が短かったため、チンパンジーどうしの関わり方を学ぶ機会がなく、挨拶がうまくできませんでした。

群れで生活するチンパンジーにとって、挨拶を含めたなかまとのコミュニケーションはとても大切です。挨拶には、相手に手を差し伸べる、お尻を見せる、抱き合うなどの行動があります。こうした挨拶や群れのルールがわからなければ、なかまとして受け入れてもらえません。

当初は、ほかのチンパンジーとの関係性がうまく取れなかったケイですが、今では複数頭の群れのなかで生活できるようになりました。ケイ自身の頑張りと成長、そしてケイを受け入れたなかまの存在がとても大きいと感じています。今回はそんなケイが群れのなかまと関係を築くまでのようすをお伝えします。

群れのなかまとすごす「ケイ」
群れのなかまとすごす「ケイ」

ケイは、2017年から穏やかな性格の「デッキー」(オス)との同居をはじめて、約半年後にはケイと同じ時期に来園した「サクラ」(メス)、友好的な「ミル」(メス)の4頭ですごせるようになりました。ほかのチンパンジーともお見合いをしましたが、ケイを受け入れたのはこの3頭のみでした。

さらにケイがいっしょにすごせるなかまを増やしていきたいと考え、2025年からは、親離れしたばかりの「イブキ」(オス)と、同年5月に安佐動物公園から来園した「ナナ」(メス)とも、それぞれ同居を始めました。

イブキとの同居は初めからとても良好な関係でした。そのとき、ケイから初めてはっきりとした挨拶行動が見られたことはとても印象に残っています。ケイはイブキのお尻をさわり、チンパンジーらしい挨拶をおこなっていました。

「イブキ」と「ケイ」
「イブキ」と「ケイ」

初めてナナと同居したときは、最初は挨拶行動が見られなかったものの、ケイはまったく緊張しているようすはなく、どんどんナナに近づいていきました。ナナが声を出したり、手を差し伸べたりして挨拶をすると、ケイは急に怖くなったのか、ゆっくりと少し離れ、声で挨拶を返していました。ときどき喧嘩もしますが、いまではリラックスしたようすでナナとすごしています。お互いにグルーミングをするようすも見られ、ナナも不安なときはケイを頼っているようすも見られます。

また、2024年にミル、2025年はサクラが無事に子を出産したことで現在はデッキー、サクラ親子、ミル親子、イブキ、ケイを含め7頭の群れでもすごせるようになりました。今後もケイのペースに合わせ、安心してすごせるように努めていきます。

「ケイ」とミルの子「シジミ」
「ケイ」とミルの子「シジミ」

新たに来園した個体は現在、落ち着いた環境ですごすことを優先し、屋外展示場での展示はおこなっていませんが、今後、非展示個体についても、お知らせしていきたく思っています。

非公開エリアのようす
非公開エリアのようす

〔多摩動物公園北園飼育展示係 橋本〕

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