ハクガンとインドガンの繁殖

2026年8月28日

多摩動物公園では、複数のガンを飼育しています。私が担当しているのは、ハクガン、インドガン、ハイイロガン、シジュウカラガン、ヒシクイ、サカツラガンの6種類です。今回は今年に繁殖があったハクガン、インドガンについてお知らせします。

まずハクガンについてですが、今回繁殖したのは「左黒」(オス)と「右黄」(メス)のペアです。園内で飼育する鳥類の多くは脚に装着した色のついたプラスチック製のリングで個体識別をおこなっています。

「左黒」とは、左脚に黒いリングのついた個体の呼称です。このペアは過去にも繁殖経験があり、今年も有望であると考えたため、繁殖用の部屋で飼育していました。2026年4月8日に1卵目を産み、その後、約1日おきに産卵し、4月16日に抱卵を開始しました。メスの右黄は、抱卵中に隣の部屋のシジュウカラガンと、抱卵姿勢のまま目隠しシート越しに突きあうなど攻撃的でしたが、それだけ卵への執着が強く、期待できました。

結果的に抱卵開始25日目に7卵のうち3卵が同じ日に孵化しました。産卵日がずれていても抱き始めた日が同じだとほぼ同時に孵化することがあります。3羽のひなは食欲旺盛で、日に日に食べる量が増え、体も大きくなっていきました。

ほかのガンと同じえさ入れからえさを食べられるようになったことを確認してから、7月5日に放飼場でほかの鳥との同居を開始しました。ほかのガンに攻撃される心配はなく、むしろほかのガンを押しのけてえさを食べに行くようすが見られたため、逆にほかのガンのためにえさ入れを増やしました。ひなは、すぐに親鳥と変わらない大きさになりました。

ハクガンのひな
ハクガンのひな

次にインドガンです。繁殖したのは「左橙右青」(オス)と「左水色右黄」(メス)のペアです。このペアにはこれまで繁殖経験がなく、放飼場でほかの種類の鳥たちと飼育されていました。そのなかで、別のペアのインドガンが抱卵しているそばで巣をつくり始め、5月1日に抱卵を開始しました。すでに抱卵したペアが近くにいたため、産卵日の確認はできませんでした。

このペアは警戒心が強く、飼育係が放飼場に入るだけで抱卵をやめて巣から離れてしまいました。そこで、1日に放飼場に入る回数を減らすことで、巣から離れるのを防ぐ対策をおこないました。するとその効果があったのか、次第に巣から離れることが減っていきました。その結果、6月2日に4卵のうち3卵でひなが孵化しました。

茂みに隠れるインドガン
茂みに隠れるインドガン

しかし、広い放飼場で孵化したため、ひな用のえさをほかのガンに取られないように与えることが難しく、ハクガンと同じような繁殖用の部屋に移しました。親子だけになったあとも、親鳥の警戒心が強く、えさを食べているかどうかの確認も困難でしたが、双眼鏡で遠くから観察して、ようやく確認できました。現在はまだ親鳥より一回り小さく、ハクガンと比べると成長速度が遅いようです。

今回のハクガンとインドガンの繁殖経験を活かして、来年の繁殖期には、希少なハイイロガンとヒシクイの繁殖を成功させたいと考えています。

左が放飼場、右が繁殖用の部屋
左が放飼場、右が繁殖用の部屋

〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 志田〕

関連記事