7月14日は「世界チンパンジーの日」

2026年7月14日

7月14日は「世界チンパンジーの日」です。この日は、チンパンジーに関心をもってもらい、その保護や生息地の保全について考えるきっかけをつくるために制定されました。野生チンパンジー研究の第一人者であり、2025年10月に死去されたジェーン・グドール博士が、今から66年前の1960年7月14日にタンザニアのゴンべに初めて足を踏み入れ、研究を開始したことを記念し、2018年に設けられたものです。

博士は双眼鏡とノートを手に森へ入り、何日もかけて野生チンパンジーを観察しました。そのなかで葉を取り除いた茎をアリ塚に差し込み、シロアリを釣り上げて食べる姿を目にします。これは「チンパンジーが道具を使用する」という画期的な発見でした。当時は、動物と人間の違いは「道具を作り、使えること」だと考えられていましたが、この観察によってその定説は覆されることになりました。

博士が目にした光景は、多摩動物公園でも疑似的に観察することができます。放飼場に設置された人工アリ塚の中に木の枝や植物のつるを差し込み、中のジュースをなめ取る行動です。また、差し込みやすいように枝の葉を手や口で取り除いたり、枝の先端をかじって筆のようにし、ジュースが染み込みやすくなるようくふうするようすも観察できます。

手で葉をむしりとるチンパンジー
手で葉をむしりとるチンパンジー
先が筆のようになった枝
先が筆のようになった枝

これらの行動は生まれつきできるわけではなく、道具を使ってジュースを得る個体を見て学び、徐々にできるようになります。まだ幼いチンパンジーは枝をうまく差し込めず、試行錯誤している姿が見られます。

人工アリ塚を試みるチンパンジーの子供
人工アリ塚を試みるチンパンジーの子供

道具を使いこなす賢いチンパンジーですが、近年では森林破壊などにより生息数が減少し、IUCNレッドリストではEN(絶滅危惧種)に分類されています。私たちが、遠く離れた地域にくらす彼らに直接手を差し伸べることは難しいものの、環境に配慮した商品を選ぶなど、日常のなかで間接的にできることは少なくありません。

この機会に、日々の生活のなかでチンパンジーを守るためにできることを考えてみてはいかがでしょうか。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 森岡〕

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