68回目の開園記念日にあたって
2026年5月5日
令和8年5月5日に多摩動物公園は68回目の開園記念日を迎えました。
今年の4月下旬から5月上旬の大型連休は前半~中盤にかけ、まとまった雨が降って肌寒い日もありましたが、この時期の園内は、お天気のよい日を中心として、緑豊かな、心地よい時間をすごすことができると思います。多くの来園者の方々が、動物の飼育展示や園内の自然などを楽しんでいただく姿は、園を運営するスタッフの励みの一つです。
例年、周年事業を中心に開園記念日の記事としていますが、本年のトピックは「タスマニアデビルを2016年6月に公開してから10年目」になります。国内では大阪市天王寺動物園で1984年に初めて展示して1991年まで、札幌市円山動物園では1988年から1996年まで飼育していますが、現在、日本でタスマニアデビルを飼育展示しているのは当園のみとなっています。
新たな動物を園で受け入れるまでの経緯には、さまざまなケースがありますが、タスマニアデビルについては数年間の取り組みがありました。私が当園の飼育展示課長だった2012年、縁あってデビル顔面腫瘍病(DFTD)の研究者が動物園関係者や獣医学科の学生向けの講演会を園内で開催しました。これが契機となり、翌年にオーストラリア・タスマニア州を訪問して、現地の州政府関係者、保全・教育プログラム関係者、病理研究者などにお会いすることになりました。私は2014年4月に上野動物園に異動となりましたが、その後数年にわたって園と現地の関係者が調整し、2016年にタスマニアデビルの展示が実現したのです。
今も現地の機関や関係者との関係はたいへん良好で、寿命は野生では5年程度、飼育下では長い場合でも6~7年程度とされる本種の飼育展示が維持されるだけでなく、園内の普及啓発イベントなどを通じ、現地の保全活動などにも貢献してきています。これまでもタスマニアデビルの保全や現地のようすなどをさまざまな機会を通じてお知らせしてきましたが、本年は10周年のイベントを園内で実施予定です。詳細が決まりましたら、Webサイトなどでお知らせいたしますので、ご参加いただければ幸いです。
さて、1958年の多摩動物公園の開園時と現在を比べると、2012年に絶滅種に指定されたニホンカワウソをはじめ数種の野生動物が姿を消し、さらに生息数減少により希少種となった数は増加しています。動物園は生息域内保全活動をおこなう関係者と協力しながら、100年後も生物の多様性がなるべく失われないため、血統管理にもとづく繁殖や飼育管理技術の向上などに取り組む必要があります。
また、世界動物園水族館協会(WAZA)は、2027年と2030年までに達成すべき個体数管理と保全に焦点を当てた主要な戦略目標を掲げ、保全活動や飼育下の動物のアニマルウェルフェア向上の取り組みを進めているところです。
多摩動物公園としては、これらの機関や国内外の動物園と連携協力しながら事業を推進し、地球環境保全に貢献していくことになります。今年度は、タスマニアデビルのイベント以外にも、野生動物の飼育展示やさまざまな企画を実施するほか、Web記事などで野生生物保全や研究などの取り組みについても情報を発信していく予定です。みなさまから保全活動などへのご支援をいただければ幸いです。
最後になりますが、本年度内は園内では昆虫坂脇でトキ展示ゾーン整備工事や設備設置工事、樹木伐採などが進められる予定です。安全な園内環境のために一部通行制限などがおこなわれる場合があり、みなさまにご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解ご協力をお願いいたします。
職員一同、みなさまのご来園を心よりお待ちしております。
〔多摩動物公園長 渡部浩文〕

