アフリカゾウの高所フィーダー

2026年4月17日

多摩動物公園のアフリカゾウ舎にはネット、ガス管、単管パイプ、漁業用ブイなど、一見すると「なぜこんなところに?」と思うような人工物が設置されています。これらは「フィーダー」(給餌器)と呼ばれるもので、えさ入れとしての機能に加え、採食時間の延長や動物種の特異な行動や能力を引き出すための役割があります。

野生のアフリカゾウは一日の大半を移動しながらえさの探索、採食に時間を費やします。

しかし、飼育下ではえさを探して歩きまわる必要もなく、決められた時間にある程度まとめて給餌がおこなわれることも多いため、短時間で採食を終えてしまいます。さらに、長い鼻を使って高い位置にある枝葉を取ったり、鋭敏な嗅覚や聴覚を用いてえさを探したりといった本来ゾウに備わっている能力も十分に発揮する必要がありません。

そこで飼育担当者はさまざまなフィーダーを自作して設置することにより、少しでも採食時間を延長し、ゾウ本来の行動や能力を発揮させることができるように努めています。

今回はそんなフィーダーのなかでも、高所に設置したフィーダーに注目してご紹介します。

高所にえさを設置することにはいくつか利点がありますが、そのなかの一つに運動を促すことがあります。

ゾウは鼻や頭を持ち上げて採食する際に、後肢に重心を移動させ、前肢を突っ張って背筋などの体幹の筋肉を動員する必要があります。野生では、ゾウ特有の高い位置の枝葉や果実を採食する際におこなう動作ですが、飼育下で再現することにより筋肉の発達とゾウ本来の行動を促し、採食時間の延長を図ることができます。

主なフィーダーの紹介

ヘイネット

ヘイ(乾草)を入れるために設計された馬用のネットです。ネットの隙間から鼻を使ってえさを取り出し採食できます。また、落ちて散らばった乾草を鼻で集める動作も引き出せます。

ブイ、ガス管

漁業用のブイと都市ガス供給用の管を用いたフィーダーです。穴を開けて中にサツマイモやニンジン、ペレットなどを入れています。鼻を使って振ったり回したりして、くふうしてえさを取り出します。

消防ホース

枝葉を給餌する際に使用します。鼻を使って葉をちぎったり、枝を折ったりして採食します。

自動給餌器

電磁石を使用した夜間用の給餌装置です。ヘイネットやブイ、ガス管などをぶら下げておき、設定した任意の時間に落とすことができます。時間設定を変えることで給餌に変化を与えられ、落下音を合図にえさの場所を探させる刺激にもなります。

電磁石を使用した自動給餌器
電磁石を使用した自動給餌器
電磁石を使用した自動給餌器

これらのフィーダーを設置することで、飼育下での採食時間を延ばし、少しでもゾウ本来の行動を促すことを目指しています。自作ということでときどき不具合が発生するなど、まだまだ改善の余地はありますが、ゾウの生活がより豊かになるよう今後も尽力していきます。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 森〕

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