初心者野鳥観察会のご報告と「渡り鳥ってどのくらいの距離を飛べるの?」への回答

投稿日:2026.04.02

更新日:2026.04.02

2026年3月8日(日)、早春の澄み渡る晴天のなか、多摩動物公園で初心者向けの野鳥観察会を開催しました。観察会当日は、事前にご応募いただいた42名の方にご参加いただき、動物園スタッフといっしょに園内の野鳥を観察しました。

双眼鏡を覗き込む動物園スタッフと参加者
双眼鏡を覗き込む動物園スタッフと参加者

双眼鏡の使い方や野鳥の観察方法などのガイダンスのあと、開園時間前の8時40分ごろから約2時間、4つのグループに分かれて園内の野鳥を観察しました。天候に恵まれたこともあり、スズメやイカル、ジョウビタキなど、どのグループも約20種、最大25種の野鳥を観察することができました。

木の枝にとまる3羽のイカル(別日に園内で撮影)
木の枝にとまる3羽のイカル(別日に園内で撮影)
メスのジョウビタキ(別日に園内で撮影)
メスのジョウビタキ(別日に園内で撮影)

観察後には、観察のふりかえりと質問の時間を設けました。そこでは野鳥に関するさまざまな質問があがり、なかには動物園スタッフが回答に戸惑うような鋭い質問もありました。そのなかで、その場ではお答えできなかった質問について、ここで改めて回答したいと思います。

質問「渡り鳥の飛行航続距離はどのくらいですか?」

鳥類における「渡り」とは、繁殖や食べものの確保を目的とし、定期的に長距離を移動する行動です。春・夏・冬など季節ごとに生活する場所を変え、北方で繁殖し、日本へ移動して冬をすごす鳥(冬鳥:ガンなど)や南方から日本に移動して繁殖する(夏鳥:ツバメなど)が一般的です。

その飛行距離は種類や渡りのルートによってさまざまですが、冬鳥・夏鳥それぞれの代表的な種類の飛行距離を紹介します。

・冬鳥:ハクガン(Anser caerulescens)
 ロシアのシベリア⇔日本の宮城県を往復。片道約3,000~4,000km。

・夏鳥:ツバメ(Hirundo rustica)
 日本⇔東南アジアを往復。片道約2,000~5,000km。

では、一度の飛行でもっとも長い距離を飛ぶことのできる鳥は、どのくらい飛び続けられるのでしょうか。

2020年に発表された研究調査によると、アラスカとニュージーランドを行き来するオオソリハシシギ(Limosa lapponica)という鳥が12,200km飛行した記録があります。多くは日本を経由して栄養補給をしますが、記録になった個体は一度も休むことなく飛び続けたようです。

渡りをする鳥は多くの場合、長距離飛行に必要なエネルギーを渡りの前にたっぷりと蓄えた脂肪でまかないます。オオソリハシシギはそれに加えて筋肉や内臓のたんぱく質をもエネルギーとして使うことができ、脂肪だけを使うよりも長く飛んでいることができます。

当然、到着するころには体中が消耗しきった状態ですが、効率的に体力を回復する仕組みももっているため、短期間でしっかりと回復することができるようです。

オオソリハシシギ(オーストラリアで職員により撮影)
オオソリハシシギ(オーストラリアで職員により撮影)

一部の鳥の「渡り」について見てみるだけでも、とても不思議で面白く、また、野生動物が生きていくために獲得してきた能力には驚くばかりです。

ここで紹介したすごい能力を持った鳥や、珍しい鳥だけでなく、“その辺で見かけるような身近な鳥”も、よく見てみると興味深いところがたくさんあります。野鳥を見かけたら、少し立ち止まってそっと見てみましょう。体の色、模様、くちばしの形、食べ物を探すようすなど、見れば見るほど面白いと感じられることでしょう。このイベントをとおして、少しでも身近な野鳥や自然に興味をもつ方が増えたら幸いです。

〔多摩動物公園 初心者野鳥観察会担当〕