アカエリヒレアシシギ公開に向けて準備中[第2部]──冬の寒さ対策は?

2026年8月23日

井の頭自然文化園の水生物園では、今年(2026年)8月にアカエリヒレアシシギの公開を始めました。公開したアカエリヒレアシシギ(以下、「シギ」と表記します)は、片翼をけがしているところを保護施設に保護されました。

昨年(2025年)10月から動物園のバックヤードで飼育をおこない、公開に向けて準備を進めてきました。前回の[第1部]では、このシギの生態や飼育準備について紹介しましたが、今回は冬のあいだ、バックヤードでどのように飼育していたのかを紹介します。

このシギは温暖な地域に生息しているため、冬のあいだは特に飼育環境に気をつける必要があります。そこで、週1回の体重測定をおこない、その増減とえさの食べ具合をもとに、環境を少しずつ変えていきました。

[第1部]で、室温を20℃前後に保ち、さらに飼育ケース内にパネルヒーターで加温することを紹介しました。そのほか、多くの時間を海上ですごす鳥なので、プールも設置しました。ただ泳ぐだけでなく、水に入ることで鳥は体についた汚れを落とすことができます。羽の保温性と防水性を保ち、全身を清潔に保つためにも、プールは欠かせません。

最初はバットに浅く水を入れたものを使い、徐々に深いバットへと変えていきました。浅いバットのときには、くちばしだけを水につけて羽づくろいをするようすが見られました。さらに深いバットを設置したところ、バットの中に入って水浴びするようすもよく見られるようになりました。

続いて、鏡を設置しました。これは、シギが群れで生活することから、鏡に自分の姿を映し、なかまがいると思わせるためのくふうです。しかし、鏡を置く位置によって、シギは異なる行動を見せました。

最初はプールに入ってほしかったため、プールの横に鏡を置きました。すると、プール付近によく行くようになったものの、もともとお気に入りだったヒーターの下からプールへ行ったり来たりするようになり、落ちつきのないようすが見られるようになりました。また、ヒーター下にいる時間が少なくなったことで、エアコン稼働時でも室温が20℃を下回ることのある冬場には、体力の消耗が懸念されました。

そこで、鏡をヒーター下に移動させると、歩き回るようすもなくなり、落ち着いてすごすようになりました。

このように、鏡の位置ひとつでも動物の行動に大きな影響を与えることを改めて実感しました。水浴び用プールも、小さいものからだんだん大きなものに変えていったことで、徐々に環境に慣れさせることができたのだと思います。

このシギは8月4日に公開しましたが、公開直前にはバックヤードの環境から展示場所に慣らすことも必要でした。次回は公開直前の準備のようすを紹介する予定です。長い期間を経て公開に至ったアカエリヒレアシシギに会いに、ぜひ井の頭自然文化園の水生物園にお越しください。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 町田〕