アカエリヒレアシシギ公開に向けて準備中[第1部]

2026年4月27日

井の頭自然文化園の水生物園では、カモやサギ、トキ、ツルなど、多くの水辺や湿地に生息する鳥たちを飼育しています。このたび、その水生物園にアカエリヒレアシシギが1羽、なかま入りしました。

なかま入りしたアカエリヒレアシシギ
なかま入りしたアカエリヒレアシシギ

シギのなかまは、長い足と細長いくちばし、水辺を歩きやすいしっかり開いた指をもつことで知られています。干潟や海岸などで生活し、おもにカニや二枚貝、ゴカイなどを食べます。干潟を歩きながらえさを探す姿がよく見られ、ガンカモ類のように水面を泳ぐことはあまりありません。

しかし、アカエリヒレアシシギを含む「ヒレアシシギ類」は海上を泳ぐことができます。ほかのシギ類とは異なリ、足の指の両側にヒレ状の膜がついており、カモの水かきのように海上での移動を助けています。

アカエリヒレアシシギの右足
アカエリヒレアシシギの右足

野生のアカエリヒレアシシギは、全長(※)約19cmのとても小さな鳥ですが、春と秋には北極圏から赤道付近までの長距離を渡ります。日本にはその途中で立ち寄ります。渡りの最中は海上で生活することが多く、魚の群れに追い上げられて水面に密集した動物性プランクトンなどを食べています。

※全長:鳥をねかせて、まっすぐにのばし、くちばしの先から尾の先までを計った長さ

15cm定規との比較
15cm定規との比較

今回の個体は、片方の翼をけがしているところを保護されました。けがの影響で野生に戻すことができず、2025年10月に保護施設から井の頭自然文化園にやってくることになりました。

都立動物園での飼育はおよそ20年ぶりだったため、まず動物病院で病気をもっていないか調べる検疫検査をおこない、そのあいだに動物病院でえさや環境づくりなど、飼育方法の検討がおこなわれました。

えさは、オキアミ、トキ用の人工飼料「トキペレット」を粉末状にしたもの、そしてレッドローチ(ゴキブリの一種)を与えていました。口がとても小さく、クチバシの長さは2cm、太さ3mm以下なため、レッドローチは極小サイズのものを使い、オキアミは細かく刻みます。また、粉末のトキペレットに水を加え、干潟のような状態を作り、採食を促しました。

左:粉末状にしたトキペレットとレッドローチ。右:粉末状にしたトキペレットとオキアミを入れた水
左:粉末状にしたトキペレットとレッドローチ。右:粉末状にしたトキペレットとオキアミを入れた水

飼育環境は、赤道付近で越冬することを考慮し、室温を20℃前後に保つことができる室内で飼育しました。飼育ケース内には25℃前後のパネルヒーターを設け、個体が自由に移動して好みの温度を選べるようにしました。

このように動物病院での飼育準備と検疫を経て、水生物園のバックヤードへ移動しました。展示の開始日は未定ですが、現在も公開に向けて準備を進めています。その裏側については第2部でご紹介します。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 町田〕