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オオフラミンゴの高齢個体「緑お父さん」
 └─ 2024/02/23
 多摩動物公園で飼育しているオオフラミンゴを観察していると、1羽だけ群れから離れて生活している個体がいます。この個体は仲間はずれにされているわけではありません。老齢のため視力が低下しており、群れの中で生活することが難しく、離れて生活しています。

 その個体は、緑色に白字で「20」と書かれた足環を右脚に装着しているオスで、過去に何度かの繁殖経験があるため「緑お父さん」の愛称で呼ばれています。


緑20の足環

 現在の推定年齢は65歳以上で、多摩動物公園で飼育されているすべての動物の中で2番目に長寿の個体です。飼育下でのフラミンゴの平均寿命は40~50年ほどなので平均寿命を10年以上も上回っています。多摩動物公園に来る前は上野動物園で飼育されており、1997年4月14日に多摩動物公園に来園し現在にいたります。

 前述のように、緑お父さんは視力が低下しています。そのため自力で餌場に入ることが少なく、入ることができたとしても採食中にほかの個体が緑お父さんを餌場から追い出してしまうことがあります。そのままにしてしまうと充分に採食できずに痩せて弱っていってしまいます。そのため給餌したあと、飼育係が餌場まで誘導して採食をそばで見守り、緑お父さんが採食できる環境作りをしています。

 ほかにも緑お父さんはえさ自体が見えていないため、くちばしでえさを探しながら採食します。このとき餌場に貯めた水が深すぎるとえさを探すことが難しくなってしまうため、えさを探しやすい水位に調節したり、ほかのえさと違いすぐに沈んでしまい探しにくくなってしまうオキアミは、あまり探さなくても採食できるように足元に給餌したりしています。

 緑お父さんは陸地でほとんど動かずに、一定の場所に留まっていることが多く一見、元気がないように見えるかもしれません。しかし、ほかの個体に給餌し始めるとそれに反応して歩き回ったり、プールの中に入って水浴びをしたり、展示場の端から端まで歩いていたりとまだまだ元気なようすも見られます。そのうえ、高齢個体とは思えないほど羽が綺麗で群れに紛れてしまうと周りの若い個体と見分けがつかないほどです。


元気に水浴びする緑お父さん

 ふだん、緑お父さんは1日中展示場にいます。飼育係が給餌しているときは飼育係の1番近くにいる個体に、給餌していないときぽつんと1羽ですごしている個体に注目し、緑20の足環を頼りに緑お父さんを観察してみてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 望月〕

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