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超高齢オオフラミンゴへの介添え給餌
 └─2018/05/11

 多摩動物公園で飼育係がオオフラミンゴのすぐそばで給餌していることがあります。この光景が見られるのは一日に10数分程度。なかなか目にする機会はないと思いますが、飼育係は眺めているわけではありません。

 じつは、こうして給餌する相手は特定のオス1羽のみ。その個体が上野動物園から多摩動物公園にやってきたのは1997年で、上野動物園に来園したのは1959年1月13日と記録が残っています。野生捕獲個体だったようなので、最低でも60歳以上の超高齢個体です(関連ニュース「おじいちゃんフラミンゴの生い立ち」)。

 しかしさすがによる年波から目が見えず耳も遠くなってきました。他の個体と同じような給餌をすることができず、このオスにだけは飼育係がそばで見守りながら給餌しています。

 えさは彼にとってのご馳走であるオキアミが中心なので、いつも体の色は鮮やかで、高齢とは思えない美しさです(フラミンゴの羽毛は、色素の多いえさを多く食べるほど濃い色になります)。

 そばで給餌をしていて気がついたのですが、フラミンゴたちの中には足の関節や足先が黒い個体がいます。今年4月にフラミンゴの飼育を担当して、この黒いのはサギ類などで見られる油分の固着かと思っていたのですが、よく見ると違います。どうやら黒い部分が多いほど、その他の部位の体色が薄いらしく、黒い関節や足先をもっているのは「まだ若い証拠」だったのです。とくに昨年と一昨年に生まれた個体は黒い面積が広いようです。

 ご紹介したおじいちゃんフラミンゴの足はきれいなピンクです。足の色をふくめ、体色がきれいでとても高齢には見えないおじいちゃん。

 群れから離れて1羽だけでぽつんと立っていることがよくあります。現在、右足に「緑20」の標識があります。ぜひ探してみてください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 高橋孝太郎〕

(2018年05月11日)



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