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多摩動物公園のネズミたち
 └─ 2024/01/05
 多摩動物公園のノウサギ舎では、4種のネズミを公開しています。ネズミたちが活発に動くのは夜。日中にはなかなかご覧いただけない姿をご紹介します。

アカネズミ


アカネズミ

 日本の野山でくらすノネズミです。後述のヒメネズミとともに、森林でくらしていますが、ヒメネズミと比較すると地上で行動する時間が長い種です。野生では、どんぐりなどの木の実や植物の種子、小型の昆虫などを食べています。

 背中の赤みの強い茶色い毛と腹の白い毛のツートーンカラー、こぼれ落ちそうな大きな目が特徴です。体が大きく、跳躍力があり、動きも速いので、担当者としては、床材の交換時などに脱出しないよう非常に気を使いながら作業しなければならない種です。

 多摩動物公園には野生のアカネズミも生息しており、以前、飼育しているムササビのえさを盗み食いしていたという話も聞きます。


ヒメネズミ


ヒメネズミ

 アカネズミよりも小型ですが、非常によく似ています。そのため、アカネズミの幼獣とヒメネズミの成獣は専門家でも見間違えるほどです。

 わかりやすい違いは、頭胴長よりも尾長が長いことです。また、森林でくらしていますが、樹上での生活が得意なこともアカネズミとの違いです。


カヤネズミ


カヤネズミ

 日本でいちばん小さなネズミです。成獣で重さは7〜8g程度で、個体を持っても手の中にいないのかと思ってしまうくらい軽いです。野生では背の高いイネ科植物がまとまって生えている、いわゆる「カヤ原」に生息しています。ススキやヨシなどの植物を編んで、草の上に巣をつくります。

 多摩動物公園で飼育している個体にススキを入れてみましたが、ススキでは巣を編んでくれませんでした。しかし、乾草をいれておくと、さらに割いて細かくして、球形の巣をつくります。多摩で飼育している個体では、メスの方が巣をつくるのが上手な気がします。

 カヤネズミは比較的よく日中も動いているので、見られるチャンスが多いと思います。閉園間際にケージを覗いてみてください。


ハタネズミ


ハタネズミ

 農耕地や河川敷に穴を掘ってくらしているネズミです。今まで紹介してきた3種は樹上や草本類の上でくらすのに対し、地面に穴を掘って生活するため、邪魔にならないよう耳が小さく、尾も短いのが特徴です。

 草食性で、根菜類や果実、野草などを食べます。アカネズミとならんで体が大きく、動きは遅めです。飼育している個体は、えさ替えのとき(日にもよりますが、昼すぎにおこなうことが多いです)などに比較的よく姿を見せてくれます。乾草でつくった巣の中から頭を覗かせ、作業が落ち着くとケージの中をうろうろとしています。


 野生で天敵の多いネズミ類は日中隠れていることが多い動物です。見えなくても、どこに隠れているのか想像を巡らせながらそっとご覧いただけると幸いです。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 担当班〕

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