多摩動物公園の昆虫生態園では一年中チョウを飼育し、チョウの華麗に舞う姿を来園者のみなさんに見ていただいています。園内にはたくさんの花が咲いていますが、その蜜だけではチョウのえさが足りません。そのため、ハチミツを10倍に薄めた特製スープをスポンジに含ませて、毎朝与えています。
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囓られたスポンジ | 夜間撮影したところ蜜を舐めるネズミが写っていた |
ところが、その蜜皿のスポンジがときおり齧られているのが気になっていました(写真1)。おそらくドブネズミやクマネズミだろうと考え、デジタルカメラのインターバル撮影機能を使って夜間撮影したところ、写っていたのは予想を裏切ってかわいいアカネズミでした(写真2)。おいしそうに蜜を舐めているようすが写っています。
アカネズミはかわいいのですが、スポンジを齧られたり蜜を盗み食いされたりするのは困ります。多摩動物公園では展示に使用するためにアカネズミの捕獲許可を取得しています。捕獲して展示用に飼育できれば一石二鳥です。
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わなの中のアカネズミ | 捕獲したアカネズミ |
さっそくトラップをしかけましたが、相手も野生動物ですからきっと警戒心が強く、なかなか捕まらないだろうと長期戦を覚悟していたところ……なんとしかけて2日目には捕獲できました(写真3)。あっけなく捕獲できて拍子抜けしましたが、これで蜜皿のスポンジを齧られることもなくなりました。
しかしこの個体は、ケガをしたのか尾の先が短くなっていて、展示向きではないことがわかりました。そこでリンゴを食べさせた後、昆虫生態園から離れたアジア園の奥に放しました。
いたずらネズミはひとまず捕獲できましたが、昆虫生態園の生態園のネズミは1匹だけではないと思います。今後、イタチごっこならぬネズミごっこになるかもしれません。自然豊かな多摩動物公園ならではのできごとでした。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 片田菜美〕
(2016年05月06日)