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ニホンカモシカの近況報告
 └─ 2023/06/09
 2023年5月29日、ニホンカモシカの「トト」(オス)が飯田市立動物園へ移動しました。トトは2022年7月6日に井の頭自然文化園で生まれました

 野生では生後1〜2年までは親とくらすことが知られており、なわばりを持ち単独でくらすニホンカモシカは、成長とともに親からなわばりを追われてしまいます。今回の移動は、公益社団法人日本動物園水族館協会が作成した「ニホンカモシカ管理計画」にもとづくものですが、実際の移動時期についてはさまざまな点を考慮する必要がありました。

 一般的に、春と秋は輸送時の温度を調節する必要がなく、動物の移動に適した時期です。しかし、秋の交尾期になれば、いっしょに放飼している父親の「ムム」からオス個体として激しい攻撃を受けてしまう可能性があります。また母親の「すずな」を繁殖相手とみなして、トトが追いかけてしまうことも考えられます。そこで、本格的に気温が上がる前のこの時期に移動させることになりました。1歳を迎える前の移動は前例はあるものの、親と離れるトトの不安の大きさが心配されました。

 一方で、父親、母親ともに3月ごろからトトを追い払うようすがときおり見られはじめ、4月下旬に次の子どもが生まれると、その行動はより顕著になりました。


左からムム(父親)、今年生まれの子、すずな(母親)、トト

 搬出までの約40日間は、4頭それぞれの状況を注意深く観察し飼育をおこないました。最初は親に追われて戸惑っていたトトも、「親のそば」ではなく「自分の落ち着ける場所」を探して選ぶようすが見られるようになり、心身ともに成長を実感しました。輸送についても、搬出用の箱へならす練習を2月中旬からおこない続けた結果、移動当日はすぐに箱に入り、非常に落ち着いた状態で移動することができました。


左からすずな(母親)、今年生まれの子、トト

 今年の4月に生まれた子どもは、現在は既に食べ物がほぼ母乳から葉に切り替わり、親と同じ粒状のフンをするようになりました。体重も順調に増えていて、母親のすずなにとって2回目の子育ても一段落かと思います。

 また、4月20日に生まれた子ども(母親:すずな、父親:ムム)の性別がメスと判明し、名前が「ココ」に決まりました。


ニホンカモシカ「ココ」

 これからも文化園のカモシカたちを、あたたかく見守っていただければと思います。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 伊藤〕

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