多摩動物公園では、環境省が進めるトキ保護増殖事業に協力するため、佐渡トキ保護センターからトキを預かり、非公開での飼育をおこなっています。2015年は飼育中のトキが産卵し、孵化した9羽がすべて無事に育っています。

今年2015年に生まれたトキ(右)と父親
飼育中のトキのペアについて(すべて佐渡トキ保護センター生まれ)
Kペア | オス:2001年5月21日生まれ | メス:2003年5月9日生まれ |
ADペア | オス:2004年7月3日生まれ | メス:2001年4月24日生まれ |
Zペア | オス:2008年5月24日生まれ | メス:2008年4月17日生まれ |
ATペア | オス:2011年4月28日生まれ | メス:2011年5月26日生まれ |
産卵と孵化、育すうの状況
Kペア、ADペア、ATペアによる9羽が孵化し、全個体が無事に育っています。Zペアは4卵を産みましたが、3個が無精卵、1個は卵が割れてしまいました。Zペアには、仮親としてADペアのひなを預けたところ、無事巣立ちまで育てあげました。最年少のATペアは、初めての育すうに挑戦し、無事に2羽のひなを育てることに成功しました。
No. | 性別 | 両親 | 産卵日 | 孵化日 | 育すう方法 |
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1 | オス | AD | 3月24日 | 4月23日 | ADペアによる自然育すう |
2 | メス | AD | 3月26日 | 4月23日 | ADペアによる自然育すう |
3 | メス | AD | 3月28日 | 4月25日 | Zペアによる自然育すう |
4 | オス | AD | 3月30日 | 4月27日 | Zペアによる自然育すう |
5 | メス | K | 4月3日 | 5月5日 | Kペア→人工育すう |
6 | メス | AT | 4月19日 | 5月15日 | ATペアによる自然育すう |
7 | オス | AT | 4月21日 | 5月16日 | ATペアによる自然育すう |
8 | オス | K | 4月17日 | 5月16日 | Kペアによる自然育すう |
9 | オス | K | 4月19日 | 5月18日 | Kペアによる自然育すう |
※産卵日はビデオモニターによる確認結果ですが、推定日も含みます。
※自然育すうの場合、孵化後約1週間は人の手で育て、その後で巣に戻しました。 |
多摩動物公園でのトキ飼育の経緯
単独の施設で動物を飼育すると、感染症の発生にともない全滅の恐れがあります。トキについても、鳥インフルエンザ等の感染症対策として、複数の施設に分散して飼育しています。
都立動物園は40年以上にわたって佐渡トキ保護センターにおける飼育繁殖に技術協力をしてきた実績があることから、保全活動の調整機能をもつ
野生生物保全センターがある多摩動物公園で、2007年12月からトキを飼育し、毎年繁殖に成功しています。
※環境省の飼育方針により非公開で飼育しています。
(1)日本の飼育状況(2015年8月1日現在。放鳥した個体を除く) |
・佐渡トキ保護センター | 96羽 | (うち2015年生 6羽) |
・佐渡トキ野生復帰ステーション | 53羽 | (うち2015年生 5羽) |
・多摩動物公園 | 18羽 | (うち2015年生 9羽) |
・いしかわ動物園 | 14羽 | (うち2015年生 4羽) |
・出雲市トキ分散飼育センター | 9羽 | (うち2015年生 3羽) |
・長岡市トキ分散飼育センター | 13羽 | (うち2015年生 3羽) |
・佐渡市トキふれあい施設 | 6羽 | (うち2015年生 2羽) |
合計 209羽 | (うち2015年生 32羽) |
(2)中国の飼育状況
2013年、野生トキは1,096羽(推定)に達し、北京動物園や陝西省トキ救護飼養センター等の飼育下のトキと合わせて約1,767羽です。((公財)日本鳥類保護連盟資料による)
◎関連ページ
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トキ6羽が佐渡トキ保護センターへ(2015年02月05日)
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トキ、2014年は7羽が育ちました(2014年08月19日)
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希少動物の飼育と保全
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保全への取組
(2015年08月24日)