多摩動物公園では、環境省が進めるトキ保護増殖事業に協力するため、佐渡トキ保護センターからトキを預かり、非公開での飼育をおこなっています。2014年は、孵化した7羽がすべて無事に育ちました。
1.飼育中のトキのペアについて(すべて佐渡トキ保護センター生まれ)
Kペア | オス:2001年5月21日生まれ | メス:2003年5月9日生まれ |
ADペア | オス:2004年7月3日生まれ | メス:2001年4月24日生まれ |
Zペア | オス:2008年5月24日生まれ | メス:2008年4月17日生まれ |
ATペア | オス:2011年4月28日生まれ | メス:2011年5月26日生まれ |
2.産卵と孵化、育すうの状況
KペアとADペアによる7羽が孵化し、全個体が育ちました。Zペアは9卵を産みましたが、すべて無精卵でした。ATペアの産んだ4卵のうち1個は卵が割れ、3個は有精卵でしたが、すべて発育が止まってしまいました。
No. | 性別 | 両親 | 産卵日 | 孵化日 | 育すう方法 |
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1 | オス | AD | 3月27日 | 4月24日 | ADペアによる自然育すう |
2 | メス | AD | 3月29日 | 4月25日 | ADペアによる自然育すう |
3 | オス | AD | 3月31日 | 4月28日 | 人工育すう |
4 | メス | K | 3月28日 | 5月5日 | Kペアによる自然育すう |
5 | オス | K | 4月7日 | 5月5日 | Kペアによる自然育すう |
6 | メス | K | 4月10日 | 5月8日 | Kペアによる自然育すう |
7 | メス | K | 4月16日 | 5月14日 | 人工育すう |
※産卵日はビデオモニターによる確認結果ですが、推定日も含みます。
※自然育すうの場合、孵化後約1週間は人の手で育て、その後で巣に戻しました。 |
3.多摩動物公園でのトキ飼育の経緯
単独の施設で動物を飼育すると、感染症の発生にともない全滅の恐れがあります。トキについても、鳥インフルエンザ等の感染症対策として複数の施設に分散して飼育しています。
都立動物園は40年以上にわたって佐渡トキ保護センターにおける飼育繁殖に技術協力をしてきた実績があることから、保全活動の調整機能をもつ
野生生物保全センターがある多摩動物公園で、2007年12月からトキを飼育し、繁殖に成功しています。
4.飼育状況
(1)日本の飼育状況(2014年8月1日現在。放鳥した個体を除く) |
・佐渡トキ保護センター | 95羽 | (うち2014年生 9羽) |
・佐渡トキ野生復帰ステーション | 51羽 | (うち2014年生 13羽) |
・多摩動物公園 | 16羽 | (うち2014年生 7羽) |
・いしかわ動物園 | 20羽 | (うち2014年生 10羽) |
・出雲市トキ分散飼育センター | 17羽 | (うち2014年生 5羽) |
・長岡市トキ分散飼育センター | 17羽 | (うち2014年生 7羽) |
・佐渡市トキふれあい施設 | 5羽 | (うち2014年生 3羽) |
合計 221羽 | (うち2014年生 54羽) |
(2)中国の飼育状況 |
2013年、野生トキは1,096羽(推定)に達し、北京動物園や陝西省トキ救護飼養センター等の飼育下のトキと合わせて約1,767羽です。((公財)日本鳥類保護連盟資料による) |
◎関連ページ
・
希少動物の飼育と保全
・
保全への取組
写真:2014年生まれのトキ
(2014年08月19日)