井の頭自然文化園は、2000年にアムールヤマネコの飼育を始めました。繁殖にも取り組み、生まれた子どもたちは日本や韓国の動物園へも移動しています。
その飼育技術を活かし、
(公社)日本動物園水族館協会と環境省が協力して進める
ツシマヤマネコの保護増殖事業に2006年から参画しています。「ヤマネコ飼育係の動物日誌」
[※]では彼らのいろいろな行動や観察のポイントなどについてお話ししてきましたが、今回は「暑い夏の一日」についてご紹介します。
今年の夏は昨年以上の大変な暑さでしたが、とりわけ7月は飼育係にも動物たちにも厳しい猛暑でした。街中ではハンディファンを持つ若者が増え、また東京のある中学校ではファン付きのベストを着用して登下校しているといったニュースも見かけるようになりました。
動物園での暑さ対策は日よけ、ミスト、氷、扇風機、エアコンなどがあり、それぞれの動物の展示エリアや建物の構造などに合わせて飼育環境を整えています。アムールヤマネコ三兄弟の展示エリアでは、日よけのほかに扇風機で風を送っていますが、この夏に最も効果があったのは昔ながらの「打ち水」です。朝、放飼場の清掃と糞の状態などを確認したあと、やや多めに地面へ打ち水をしています。

打ち水した地面
ヤマネコたちは日頃からどの場所が涼しいのかを熟知していますが、打ち水が地中にしみこみ、地面が冷たくなるとゆっくりと歩いてやってきて横になります。時にはおなかを地面につけたり、またある時は仰向けになったりして休息する姿を観察することもできます。

冷たい地面で休息するヤマネコ

寝転んで休息するヤマネコ
暑い夏もあと少し……。ヤマネコたちの暑い夏の過ごし方をじっくり観察してください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 唐沢〕
^ ◎動物日誌
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ツシマヤマネコ飼育係は「糞」が大切!!(2018年06月08日)
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ヤマネコ、糞からのメッセージ(2024年11月21日)
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ヤマネコ飼育係の動物日誌 No.3 ~ツシマヤマネコの「もも」~(2025年01月12日)
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ヤマネコ飼育係の動物日誌 No.4(2025年05月18日)
(2025年09月08日)