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毒をもつ生物(9)やわらかく、強い毒をもつウニ
──イイジマフクロウニ
 └─葛西  2010/10/01

 毒をもつ生物(2)でガンガゼというウニをご紹介しましたが、今回はイイジマフクロウニというウニをご紹介します(ガンガゼの記事はこちら)。

 このウニもガンガゼと同じように棘に毒を持っています。その毒は強く、刺されると強い痛みにくわえて、患部が発赤し大きく腫れてきます。個人差もありますが、しびれやマヒを伴うこともあるようです。さらに、ショック症状を引き起こすこともあり、大変危険な生き物です。

 危険な生き物ではありますが、ふつう水深10メートル以上のやや深いところに生息するため、海水浴や磯遊びをするような場所では、ほとんど見かけません。ただし、スキューバダイビングをおこなう方は注意が必要で、ダイビング中の被害が多いようです。

 イイジマフクロウニは殻の直径が10~15センチメートルと比較的大きく、長さ3センチメートル程度の棘がたくさん生えています。フクロウニ目フクロウニ科に属し、その名にもあるように、革製の袋のようにやわらかい体をしているのが特徴です。このなかまのことをヤワラウニと呼ぶこともあります。
 ウニの殻は、殻板(かくばん)と呼ばれる小さな板が組み合わさってできています。フクロウニ類では、この殻板がうろこ状に重なった殻をもつため、やわらかく、形を変えることができます。

 葛西臨海水族園では、東京の海エリアの「伊豆七島の海2」水槽でイイジマフクロウニを展示しています。イイジマフクロウニを見ていると、そのやわらかさを手で確かめてみたくなってきますが、毒の棘があるため、素手で触れないのがとても残念です。もし海で見かけても、決して素手では触らないようご注意ください。

写真上:イイジマフクロウニ
写真下:ムラサキウニの殻と殻板

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小木曽正造〕

(2010年10月01日)



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