トウキョウダルマガエルは、かつてはトノサマガエルと呼ばれていました。分類の研究が進んで、関東から仙台平野にかけてすんでいるものは別の種となり、トウキョウダルマガエルの名前で呼ばれるようになりました。
ちょうど今の時期、水が張られた田んぼにオスが集まり鳴き交わし、夜はもちろん、昼間でもうるさいほどです。両側のほっぺたにある袋をふくらませて「グケケケ、グケケケケ……」と力の入った大きな声で鳴き、メスをめぐって、なわばりに侵入する他のオスを攻撃するようすが見られます。多くのカエルがのどをふくらませて鳴きますが、本種は泳ぎながら鳴くことも多く、のどをふくらませると邪魔になってしまうのでしょう。
トウキョウダルマガエルは、田んぼの畦道を歩くと次々と飛び出してくるカエルです。田んぼにある小川沿いに多く、たいていは田んぼではなく、小川の方へ1回のジャンプで飛び込み、そのまま水底へ潜り込んでしまいます。
でも、そんな田んぼは、東京の近辺では珍しくなってしまいました。コンクリートで固められた小川は深く、一度落ちたら、指に吸盤を持たないトウキョウダルマガエルは上がることができません。水辺からほとんど離れることなくくらしていて、湿った土の中で冬眠するため、最近の乾燥させた田んぼでは生きていけなくなってしまいました。東京での生息地はかなり狭められ、とっても珍しいカエルになってしまいした。トウキョウにはいないトウキョウダルマガエルとならないことを祈っています。
井の頭自然文化園分園の水生物館では常設展示で、また、開催中の特設展示「ずっとカエルとくらしたい」(2008年8月31日まで)では、録音された鳴き声を聞きながら、生きたすがたがご覧になれます。
・お知らせ「
水生物館特設展示『ずっとカエルとくらしたい』開催!」
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕
(2008年06月13日)