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シリーズ井の頭自然文化園のカエル No.07
 カジカガエル
 └─井の頭 2008/06/06

 「フィフィフィフィフイーフィー」──さて、これがどんな生き物の鳴き声か、おわかりになるでしょうか? とてもカエルの鳴き声とは思えないかもしれませんが、この鳴き声の主が今回ご紹介する「カジカガエル」です。

 カエルはおもに、繁殖期にオスがメスを呼ぶために鳴き、その鳴き声は種類によって異なります。カジカガエルの繁殖期は4~8月で、オスは「フィフィフィフィフイーフィー」とさかんに鳴いてメスを呼びます。

 この美しい鳴き声は古くから人々に愛され、カジカガエルはさまざまな和歌や俳句に“河鹿”(カジカ)として登場してきました。井の頭にゆかりの深い詩人・野口雨情も、「川の瀬の 瀬の小石のかげで 可愛や河鹿が 鈴をふる」という詩を残しています。

 カジカガエルは、本州・四国・九州の渓流やそのまわりの川原や森林に生息しています。ひらべったい体つきで、体の色は灰褐色や茶褐色をしています。同じアオガエル科のモリアオガエルやシュレーゲルアオガエルなどのような緑色になることはありません。野外で鳴き声をたよりにその姿を探しても、見つけるのは難しいかもしれません。

 カジカガエルの手足の指には吸盤があり、ふだん、水槽の中では葉っぱやガラスに張りついてじっとしています。しかし、捕まえようとすると、動きはとても素早く、狭い隙間に潜り込んで隠れてしまうこともあります。「捕まえたっ!」と思っても、指の隙間からするっと逃げられてしまうこともたびたびで、水槽の中でも捕まえるのがとても大変なカエルです。

 井の頭自然文化園分園の水生物館では、常設展、および現在開催中の特設展の両方でカジカガエルを展示しています。特設展では、録音したさまざまな種類のカエルの鳴き声を順番に放送しており、その中にカジカガエルの鳴き声も入っています(特設展「ずっとカエルとくらしたい」は2008年8月31日まで)。

・お知らせ「水生物館特設展示『ずっとカエルとくらしたい』開催!

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 小木曽正造〕

(2008年06月06日)



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