メールマガジン「ズー・エクスプレス」No.225でヒメハリテンレックの人工哺乳についておしらせしましたが、すでにこの個体の人工哺乳は終了。現在、小獣館ではマタコミツオビアルマジロの赤ちゃんの人工哺乳をおこなっています。というのも、テンレックと同じく、マタコミツオビアルマジロの母親が育児放棄をしてしまったため。
マタコミツオビアルマジロの赤ちゃん(メス)が生まれたのは、2005年8月1日。「マルコ」と呼ばれています。しかし、母親の初乳には栄養や免疫などの観点から大切な成分が含まれているので、母乳を飲ませるようにしました。
といっても、育児放棄をしてしまった母親。赤ちゃんに母乳を飲ませるには工夫が必要です。しかも、二人がかり。1人の飼育係が母親をつれてきてあおむけにし、もう1人が赤ちゃんを乳首に吸いつかせます。しかし、そこはミツオビアルマジロ。ボールのように丸まろうとする母親を「伸ばして」あおむけにするためには、かなりの力が必要です。ただし母親は、いったん伸びてお腹を出すと、観念したかのようにじっとしています……。
生後何日かのあいだ、初乳をちゃんと飲んでくれたので、現在は飼育係が与えるイヌ用ミルクだけ。授乳は9時、12時、15時、18時の1日4回。
アルマジロの「甲」は、表が角質部、内層が骨質部で、まさに「ヨロイ」を着ているようですが、生まれたばかりの赤ちゃんのヨロイは、まだフニャフニャ。少しずつ堅くなっていくようです。
・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」の
マタコミツオビアルマジロはここ。
写真上:手の上で丸まるマルコ
写真中:母親の母乳を赤ちゃんに吸わせる(この日は吸いませんでした)
写真下:スポイトによる哺乳
(2005年8月12日)