多摩動物公園のソデグロヅル舎では
2023年2月に、ソデグロヅル1羽が高病原性鳥インフルエンザに感染して死亡しました。その他の個体については経過観察をおこない、遺伝子検査で陰性という結果を受け園内の空き獣舎2か所に隔離し、飼育管理をおこなってきましたが、このたびソデグロヅル舎の鳥インフルエンザ対策工事が完了し、2025年4月11日より展示を再開することができました。

対策工事が完了したソデグロヅル舎
ソデグロヅル舎の鳥インフルエンザ対策工事は、2023年12月から進めてきました。対策として、飼育施設内への野生動物の侵入を防ぐため目の細かいネットへの張り替え、野鳥の落下糞対策として上部ネットに寒冷紗を設置できる構造に変更することにしました。
ただし、ガラス観覧場所のある大放飼場については、上部に寒冷紗を設置するための足場を設置することが難しかったため、高病原性鳥インフルエンザが国内で発生した際に、鳥を退避させるスペースを設けました。この退避スペースは、来園者観覧通路側のガラス前になりますので、ソデグロヅルをここに隔離することになっても、来園者からご覧いただけ、展示が継続できるものとなっています。

観覧通路側の退避スペース
ソデグロヅルは高病原性鳥インフルエンザ発生後、園内の空き獣舎に隔離し、飼育管理してきました。対策工事が長期にわたり、隔離飼育が動物の負担とならないよう、既存の施設を生かし、また工期が短くなる工法を採用しています。さらに当園では毎冬積雪があり、数年に一度は大雪が降りますので、積雪荷重についても考慮しました。
今年3月、ついに工事が完了しましたが、3月は雨が多く気温の変動が大きい季節です。すぐにツルを施設に戻すのは寒暖差による体調不良だけでなく、体が濡れたままの状態となり体温低下に陥ることが心配されました。というのもソデグロヅルを2年近く隔離していた室内の隔離施設は水浴びができない環境であり、羽の汚れによる撥水効果の低下が想定されたためです。
そのため数羽ずつ新しい施設に移動させ、慣らしと健康観察の期間を十分設けるようにしましたが、どの個体も移動後から落ち着いており、翌日から水場で水浴びする姿や羽の撥水効果も確認されました。
今回のソデグロヅル舎の改修工事は、高病原性鳥インフルエンザ発生個所であったため園内で最初に工事がおこなわれました。今後、ほかの鳥舎についても鳥インフルエンザ対策工事を順次実施していく予定です。その際、一部エリアで観覧が制限される場合がございますが、何卒ご理解とご協力をお願い申しあげます。
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