新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、多摩動物公園は2020年3月28日から臨時休園に入りました。そして6月4日に再開園。この長い休園中に起こった、サバンナの動物たちの変化をお伝えします。
キリンの誕生
3月7日に生まれたキリンのメス「ノン」は、他の子どもに比べるとかなり体が小さく、弱々しいようすで心配させられましたが(
ニュース)、母親ノゾミが献身的に世話をし、すくすく育ったノンは、4月8日には群れといっしょにすごせるようになりました。

キリン「ノゾミ」(右)と生まれた子「ノン」。誕生して間もない頃
ノゾミにとってノンは5頭目の子どもですが、以前の4頭の子どもはほぼ幼いうちに死亡し、おとなまで育ちませんでした。ノゾミはすでに27歳という高齢(現在国内第2位)であることを考えると、母子ともまだまだ心配は尽きませんが、キリンにとってこれからあたたかくすごしやすい季節になることは安心材料です。
モモイロペリカンが孵化
また、今年もモモイロペリカンが繁殖し、現在子育て中です。3月下旬、昨年と同じ3ペアが昨年と同じ場所で営巣し始め、3月31日から産卵が見られましたが、1ペアは産卵する前に巣を放棄してしまいました。そして、残り2ペアがそれぞれ2卵ずつ産卵しましたが、残念ながら1卵不明となりました。
その後、残った3卵が順調に孵化し始めたのですが……1羽目と2羽目は孵化翌日に行方不明になってしまいました。そのうち1羽の死体を回収できたのですが、目立った外傷などもなく、死んでしまった原因、巣からいなくなった原因は不明です。

モモイロペリカンのひな(2020年5月17日撮影)
ひながいなくなると両親は巣から離れ、巣にはとうとう1ペアと1卵が残されるのみとなりました。ここでまたうまくいかなかったら今シーズンの繁殖はなしになるところでしたが、5月11日に無事孵化したひなは、行方不明になることもなく順調に成長を続け、担当者としてもほっとしています。
臨時休園中のキリンたちは……
9年前の東日本大震災で、多摩動物公園は2週間休園しました。静まり返った園内に慣れたキリンたちは、4月の再開園直後、来園者に驚くような行動を示していました。

今回、2か月を超える長期の休園となりました。休園期間中も隣のライオン園では工事が続けられ、音や振動、工事関係者の出入りなどもあり、2011年の休園期間よりもにぎやかに感じられました。そんな状況でもキリンたちにとっては居心地がよいのか、休園期間の日中、おとなを含めた多くのキリンたちが座って過ごすようになりました。
多摩動物公園にご来園いただいた際には、動物たちの成長にもご注目ください。そして私たちは、動物の行動の変化にしっかり目を配って行きます。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 清水勲〕
(2020年06月05日)