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“ネコ科の女王”ユキヒョウ来園──多摩 2005/02/04

 2004年12月6日、名古屋市の東山動植物園からユキヒョウのメス「ユキ」が来園! 2005年1月29日から公開しています。これで多摩動物公園のユキヒョウはオス1頭、メス4頭となりました。

○しっぽと足
 雪深い寒冷地にも適応しているユキヒョウ。多摩動物公園の一番奥、「アジアの山岳」コーナーで、その優美なすがたを見せてくれます。ふわふわした体毛は長く、おなかの部分の毛は10センチにもおよびます。しっぽは太く、1メートルちかくもあります。足場の悪い岩場などを移動するときは、このしっぽでバランスをとるのです。座っているときは、この長いしっぽを体に巻いて、寒さから身を守ります。
 ほかのネコ類より大きな「掌」も目だちます。足裏は毛でおおわれていて、寒さから足を守るとともに、「かんじき」のような役割をはたしています。大きな掌は、岩場を移動するときも便利。また、ジャンプ力は抜群で、水平に15メートル(!)跳ぶともいわれます。

○分類と生息域
 ネコ類を大型ネコ類と小型ネコ類にわけたとき、ユキヒョウは、ライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、ウンピョウ、チーターとならんで「大型」のなかまに入れられます。でも、ユキヒョウはライオンなどとちがって、ガオーッとほえることができません。のどの構造がちがうようです。
 ユキヒョウはネコ科の中でももっとも高地にすむ動物。ネパールや天山山脈、パミールやカシミールなど、内陸アジアの山岳地帯が生息地域です。標高は2,700~6,000メートル。しかし、非常に高いところでくらし、しかも単独で夜行動するため、生態についてはあまりわかっていません。野生のすがたがはじめて撮影されたのも、1970年のことでした。

○おとなとこどもの斑紋
 体にはヒョウに似た斑紋があります。子どもにも細かい斑紋がありますが、そのようすは、下↓のリンクのユキヒョウの親子のビデオをごらんください。

「東京ズーネットBB」2003年8月
 多摩動物公園で2003年5月4日に生まれたユキヒョウ2頭。生後3か月ちょっと。抜群のジャンプ力とはいえ、まだ子ども。ちょっとした段差を、ヨイショヨイショとよじのぼっています。

「東京ズーネットBB」2004年2月
 かなり大きくなった子ども2頭。でも親とじゃれあっています。

○獲物
 獲物はアイベックスやマーコール、野生のヒツジ、ヤギ、ナキウサギやネズミなどなど。冬季はシカ、イノシシ、ガゼルなどです。通常、走って追いかけるのではなく、そーっと獲物に忍びより、数メートルの距離から飛びかかります。目の位置が比較的高いのですが、これは、狩りの際に身を隠すためともいわれています。
 食物が少なくなると人家ちかくに出没し、家畜をおそうこともあります(ヒトを襲った記録はないとのこと)。
 また、鼻が太いのも特徴的。これは、高地のうすい空気をしっかり吸うためであり、また、冷たい空気をあたためて湿気をあたえるためと考えられます。

○マーキング行動
 動物園では、おしっこをうしろに跳ばして「スプレー」したり、足を地面や壁にこすりつけたりして、マーキングするするすがたを見ることができます。じっとしていることも多いのですが、午後3時ごろ以降が狙い目かもしれません。

○乱獲と保護
 ユキヒョウは毛皮のすばらしさがアダとなって乱獲の憂き目にあい、非常に数が少なくなってしまいました。多摩動物公園では、ユキヒョウの保護・繁殖にとりくんでおり、今回も東山動物園から1頭を借りうけることができました。なお、日本では13の施設で合計24頭(オス10頭、メス14頭)が飼育されています。

○国際ユキヒョウ・トラスト
 International Snow Leopard Trust

 ユキヒョウの保全計画にとりくむ組織です。サイトには、ユキヒョウの紹介をはじめ、保全計画の実際、写真やビデオ、子ども向けクイズなどがあります。サイトはこちら→ http://snowleopard.org/

 クイズから一つ引用──「1990年以降、野生のユキヒョウが分布する国の数は増えた?減った?」。答はメールマガジンNo.202の編集後記で。

・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のユキヒョウはここ

(2005年2月4日)



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