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ソデグロヅルの近況[1]
 └─多摩  2013/04/19

 今年(2013年)3月、大阪市天王寺動物園と多摩動物公園の間でソデグロヅルのペアを交換しました(下記ニュース)。天王寺で長年飼育されていたソデグロヅルのペア(オス21歳、メス20歳)が来園したのは3月6日です。国内の血統から見てぜひ繁殖してほしいペアなのですが、産卵しても無精卵の状態が続いていたため、多摩動物公園で人工授精を試みることになったのです。

 4月1日、人工授精の準備のために総排泄腔(そうはいせつこう:消化器と尿生殖器の末端が合流したところ)の周囲の羽毛を切り、4月6日には採精(精子の採取)をおこないました。採精は天王寺でもおこなっていたので無事完了しました。

 多摩で飼育しているソデグロヅル「大アブちゃん」の攻撃性については以前お知らせしましたが、今回来たオスもなかなか元気です。事前に聞いてはいたものの、ケージ越しのアタックは大アブちゃんに引けをとりません。しかし、飼育係がケージに入ったとき、大アブちゃんは向かってくるか来ないかが最初からわかりやすいのですが、天王寺から来たオスは、来ないと思っているとじわりじわりと近寄って来て、こちらが気を抜いているとあっという間に攻撃態勢に入ります。

 下記ニュースのとおり、私たちはケージ内で身を守るためにデッキブラシを使います。ただし、天王寺のオスに対して勢いよくデッキブラシで応戦してしまうと、左翼がないためバランスを崩して転んでしまいます。そこで、力を加減しながらブラシを向けつつ、餌場の掃除をしてから餌を置いて外に出ます。

 これまで多摩で育ったソデグロヅルしか見てこなかったので、他の動物園に長年いた個体との違いを感じているところですが、今後、新しいペアからの有精卵に期待をかけています。

「そっと忍びよるソデグロヅル『アブちゃん』」(2007年11月02日)
「ソデグロヅル『大アブちゃん』参上!」(2008年01月25日)
「ソデグロヅルのペアを交換します」(2013年02月28日)

写真上:来園した2羽のソデグロヅル、(手前)オス(奥)メス
写真下:ケージ越しにポーズをとるオス

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

(2013年04月19日)



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