「甘エビ」として鮨ネタや刺身でお馴染みのホッコクアカエビの展示開始について、以前の記事でお知らせしましたが、その後についてご紹介します。
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「甘エビ(ホッコクアカエビ)はなぜ甘い?」(2012年07月06日)
葛西臨海水族園でホッコクアカエビを展示している水槽は、深海の生物コーナーの「深海II」ですが、今回展示の方法を改良しました。
2012年6月の展示当初は水槽で直接展示しましたが、その後水槽内にアクリル製の小さなケースを入れ、その中で展示するという方法に変更しています。
「深海II」水槽では、モロトゲアカエビとイバラモエビというエビを展示しています。どちらも大きさはホッコクアカエビと変わりませんが、餌を与えると活発に動き回り、大きな餌にも噛り付いて食べます。それに比べてホッコクアカエビは、動きもおとなしく、大きな餌を齧ることもできません。体も脚もほかのエビより華奢で、一緒にすると餌の奪い合いで負けてしまいます。
そこで昨年11月、モロトゲアカエビとイバラモエビは今までどおり水槽で展示し、ホッコクアカエビは水槽内のケースに入れることにしたのです。
ホッコクアカエビは、赤い頭の先端に長い額角と触角があり、尾部の真ん中辺りが尖っているのが特徴です。半透明の赤みがかった体と脚が、ほかのエビより繊細なつくりであるのがよくわかると思います。
自然では、小さな甲殻類、貝類、ゴカイ類などを食べています。水槽での餌は、週に2回、きざんだオキアミなどを与えています。ケースに海水を送り込むチューブを通して餌を流し込むと、触角などにある嗅毛という器官で臭いを感じ、細い脚を激しく動かして探り当てます。そして口元に抱え、ほかのエビに邪魔されることもなくゆっくりと食べます。
今回の展示方法ではすぐ近くで見ることができますから、食材としてお馴染みの甘エビの生きた姿をじっくり観察してください。
写真上:赤い繊細な体のホッコクアカエビ
写真下:小さいアクリルケース内で展示
〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕
(2013年02月15日)